「ウルトラマンメビウス」(終)

 あのさぁ……ウルトラマンって、巨大ロボットじゃないんですけど……。

 まず、撃墜されたリュウヒカリになって復活という冒頭の展開からして「……は?」。そんな簡単になっていいのかウルトラマンに。しかも、なったらなったで特に活躍しないまま敗北するし。そんでもって、最終的にはよく分からない奇跡が起きてみんな合体して、どさくさにゾフィーも登場。ってか、「サコミズ、お前の力が必要だ」ってお前この前フツーに戦ってたじゃん!!

 何なんだよ一体……。

 「人間との絆で強くなるウルトラマン」というコンセプト(?)の最終結論が「みんなと合体した最強のウルトラマン」というのは、個人的に絶っっっっっっっっ対にナシだ。「ウルトラマンが強くなること」と、「戦隊ロボが合体して強くなること」が同意義になってどうするんだよ。ウルトラマンはあくまで「ウルトラマン」でしかないんだよ。というか、なくちゃいけないんだよ。「不可能を可能にする、それがウルトラマン」って、文字通りに捉えてどうすんだよ!!!

 これだったら、仲間達の必死のアシストによって強敵を倒した「マックス」の最終話の方が、何億倍も評価できる。いや、多分そのパターンをあまりにも使いすぎた所為で(一体この一年で何十回そんなエピソードがあったことか)、最終的にはこんなとこまで行かなきゃいけなくならなくなった、というような事情は何となく分かる。加えて、劇場版での「合体」も、ウルトラマン同士の「力の分け与え」として、2000 歩ぐらい譲って許容できる。

 だけど、それまでウルトラマンと「人間として」接していたキャラクターを、どさくさ紛れにウルトラマンにして「これが仲間だ!」ってお前らバカじゃねぇのと本気で思ってしまう。違うんだよ、そんなんじゃないだろ!? 地球は人間達の手でこそ守るもんだろ? 人間は、人間の力を使ってウルトラマンと共闘するんじゃなかったのかよ。

 お膳立てはいっぱいあったじゃないか。特にファイナルメテオール。これを上手く使えば、エンペラー星人だってあんな棒立ちで喰らって消滅なんていう、ラスボス史上類い希なるマヌケぶりを晒さずに済んだじゃないか。人間達や、ヒカリや、あの侍宇宙人の助力や犠牲によってエンペラー星人の一瞬動きを止めたところで……とかさぁ。そのために宇宙人まで助けに来たのに、最終的に合体って……何なの? ホントに何なの?

 何? 君らは「仲間は一緒にいるだけで心強い」みたいな事を魅せれば満足だと思っているわけ? アホか

 「仮面ライダーSPIRITS」で、滝は「改造人間にしてくれ」と軽く言う SPIRITS 隊員に何て言った? それよりもっと前、仮面ライダー1号2号は、どうして風見志郎の頼みを最初断った? 「ウルトラマン」とは大分事情は違うけれど、根底に流れているべきものは一緒だと思うだけど。

 あー何だろう、すげームカつく。とにかくすげームカつく最終回だった。歴代のウルトラマン達が、敢えて地球へ向かわず、メビウスとその仲間達に託して黒点除去に向かった辺りは、凄く良かったのに。アストラ出てきてテンション上がったのに! どうして、どうしてなんだ!! どうしてこんなことになったんだ!!

 1 年通して観ても(途中観てない時期はありましたが)、やはりその印象もそんな感じ。「仲間達が力をくれる」「仲間達が居てくれる限り負けない」という、有り触れた言葉を有り触れた表現でしてどうするわけ? そりゃ、平成ライダーみたいに「そんなものありませーん」って態度もそれはそれでムカつくが、ここまでかましいほどの押しつけもムカつくよ。

 歴代ウルトラマン登場の回や、劇場版はいわば反則技みたいなものだから別格とすると、もうホントに久しぶりに、露骨で陳腐で全く一切ノレない特撮でありましたよ。

 それともあれか、もう僕がズレちゃってるのか。何か「メビウス」って評判良いらしいし。でも、そんな人達だってみんな絶対合体したとき「えー」って思った筈だ!(←厚かましい押しつけ)