「結婚できない男」(終)

 ホント今更過ぎるぐらい今更なので、「なんて幸せな最終回だろう!」ということだけはご報告申し上げたいと思います。

 特に早坂先生と桑野の告白合戦(?)の展開は多幸感に溢れすぎてて、ニヤニヤしっ話。早坂先生と桑野の痴話喧嘩にキレるみちる、というベタというか若干古臭い感のあるそのきっかけにしても、元を辿れば今まで視聴者だけが知っている「二人のお似合いっぷり」を、ようやく劇中の人物が代弁してくれたわけで、こっちとしても「うわ、古臭い!」と思う前に「全く、やっと気付かないのか!」と若干気持ち悪い呆れ方が出来て全くマイナスポイントで無し。

 そして、そのみちるに背中を押されて「キャッチボールがしたいです」と先制攻撃する早坂先生。早坂先生の問いに、最初は茶化していたのに真面目に切り返されるとちゃんと真面目に答える桑野が、またその実は真摯な内面をよく示していて良かった。

 その早坂先生の問いを考えて考えて、答えを出した桑野の明くる日の告白もまた素晴らしい。その死ぬほど回りくどい告白に、何度「早く言えよ!」と思ったことか。でも、それが良いんだな。じわじわ、じわじわと真意を語る桑野の言葉に反応して、じわじわ、じわじわと変わっていく早坂先生の表情と言ったら! そして「ダメですか、僕じゃ」という告白に、「いいかも知れません」と嬉し涙目で答える早坂先生!

 きゃあああ〜〜〜〜っ!!(壊)

 そんで「まぁ、結婚できないんですけどね」と来て、早坂先生のヒステリーでオチ。綺麗だなぁ……。そして最後は、「来て下さい、どうしても」と桑野が早坂先生を部屋に誘い、相変わらずの会話をしながら……というところで幕。なんだろうな、この「微笑ましい」では済まされない多幸感。あの後、実は完成していた家の模型を二人で眺めるのかな……とか、そういう「想像」の部分までハッピー満載。もう「良かったなぁ、桑野。良かったなぁ、早坂先生」と頷くばかりです。

 結局、このドラマの素晴らしかったところは、最終的にそう思えるぐらいキャラに魅力があったということなんだろうと思います。偏屈で、面倒臭くて、憎たらしい桑野というキャラクターにさえ、内面にはしっかり仕事への情熱や、人に対する思いやりがあるということが、全く説教臭くなく表現されていて、お陰で桑野はその性格なのに全く憎たらしく見えないし、早坂先生やみちると言った人々が好きになったり、英治や沢崎などなど、周りに人が集まっていくことに(最終的に金田まで集まってきたし)何の不自然も感じないところは本当に強かった。ま、実際近くにいたらまず敬遠するとは思いますけど。

 だからと言って完全にキャラ頼りになるわけでなく、桑野が身近な人々の大切さに気付くのにケンちゃんを使ったり、英治の言葉を使ったり、母親に「本当の孤独を知らない」と言わせたり、ちゃんと大事な部分は「話の構成」で描いてくれるのも好感。

 笑いの部分でも、最終回でも散々シャツを選んでもらっておいて「何で指図されなきゃならないんですか?」とぬけぬけと言う桑野や、「犬も食わないって奴ですよ!」と言われてボールを吐き出すケンちゃんという細かいとこまで、神経行き届いてて面白いわ感心するわで大変。

 コンビニ店員やビデオ屋店員ももう少し本筋に絡んで欲しかったな(「桑野の身近な人」として)と思う部分は無くは無いですが、それでも最高にハッピーな最終回でありましたし、ドラマとしても( 3 本しか観てないですが)今期のドラマではまず間違いなくナンバー 1 のクォリティで御座いました。ありがとうございます。

 続編は存分に作れそうな結末ではあったので、相変わらずのテイストでいつかまたやってくれると嬉しいな。「『二人で暮らすためのあれこれ』を周りのカップルから学ぶ桑野の二時間」とか。