「結婚できない男」

 沢崎をああいう描き方するというのは、正直意外。英治が言っていたように「そういう次元じゃない」キャラだと思ってたから。

 僕が鈍いだけかも知らんですが、今までの描写ってあくまでダメな弟(兄?)を持った感じというか、「全くもう、こいつは」って接し方だと思ってたんですよ。冒頭、一生懸命お悔やみを言おうとする桑野を「無理しなくていい」と諫めるとこなんか特にそれっぽかったし。

 だから、「仕事じゃなくても側に居ることはできる」とまで宣言されると、正直些か唐突な印象を受けてしまうのでした。いや、勿論その可能性はあるだろうとは思ってましたけど、「え!? そこまで!?」というか……見えてないねぇ、ドラマが。

 ただ、その描き方そのものは凄く丁寧で、冒頭で「桑野にとっての沢崎の必要性」をじっくり描いた後(またしても棟梁の頭が「トゥルン!」)、徐々に具体的になっていく引き抜き話に右往左往する桑野と、その右往左往っぷりの中にある真意をしっかり読み取っている沢崎、そして最後の桑野の最悪に酷すぎる告白でふっ切れる沢崎、そして全編に渡る早坂先生への気遣い(?)……圧巻ですらありました。

 そこに絡んでくる早坂先生がまた可笑しいやら切ないやらで大変。最初、「自分も嫁候補だった」と聞いてほくそ笑んだかと思えば、沢崎と桑野のベストコンビぶりに困惑したり、沢崎のことで相談しに来る桑野に複雑な感情を持ちつつもきちんとアドバイスを与えたり(「こんな話するだけでも大サービスなんです」は今回一番切ない台詞)してしまう早坂先生。

 そして極めつけは吹っ切った沢崎から「あなたには(吹っ切ったことを)お伝えしたくて」と言われたときの表情! 絶品!! この、先生が自分の桑野に対する気持ちの自覚が徐々に大きくなっていく様は、今回沢崎の気持ちと同じくらい丁寧であったと思います。

 そんな濃ゆい女二人の心理描写の影で、相変わらず過ぎな桑野がまた楽しかったな。常に意地を張り続け、早坂先生のアドバイスを口実にまた意地を張ってその責任を押しつけようとする身勝手っぷりは酷いし、最後の「お前みたいな便利で都合の良い奴はいないんだよ!」という告白もまぁ酷い。これでキレなかった沢崎は本当に良いパートナーだと思いましたよ。

 桑野以外でも、桑野の生態を理解しつつある各種店員も面白かったけど、こいつらにまで進展があったりするんだろか。別に無くても構わないけど、あったとしたらホント丁寧なドラマだよなぁ。

 あと、地味にみちるも恐ろしく空気を読まない発言や、意外と利己的な発言の数々など、桑野との類似点を匂わせ始めていて、今後の展開的にも面白かったです。

 先週からの伏線「ケンちゃんと仲を深める桑野」がようやくみちるにバレ、来週結実する模様。予告での「好きになっちゃったみたい……」という台詞が非常に興味を引きますが、あと 2 話しか無いんだよなぁ。勿体ない! 勿体なさ過ぎる!!