「牙狼〈GARO〉」

 おお、ヒロインの父親はスマートブレイン社長じゃないすか。たった 2 シーンしか出ないようなレベルの俳優さんでは無いと思うのだけど……こういうのって、ハッキリ顔見せない方が効果的なような気もするし。

 そんな、微妙なキャスティングに象徴されるように、今回は白コートとヒロインのそれぞれの「父への思いへの踏み込み」が描かれたわけだけど、どちらもなんか微妙な感じに終わってしまった。

 白コートの方は、単純に内なる黄金騎士と白コートの戦いが全くカッコ良くないってのがでかい。いちいち出てくる血飛沫のCGがいちいちショボいので、その度に醒める。しかも、血飛沫出す割に血糊が全く付いてないので、これまた醒める。

 アクション自体も、前までの「段取り丸見え」のスピード感ゼロの下品な画面エフェクトとSEの付いたダメアクションに逆戻りしていて、正直全く手に汗握らないし、白コートの苦しんでる様も全くリアリティを持って無くて虚しいシーンだった。相手の黄金騎士が、いつものGAROと違って黄金色(?)にマントでとてつもなくカッコ良かったことだけが救い。

 それに、「影を怖れずに踏み込む」という突破口の描き方がホントに踏み込んでるという笑っちゃうぐらいの単純さは全く構わないのだけど、それまでのモノローグの運び方があまりに変でどうしようかと思った。だって、直前まで「親父はどうやって……?」って悩んでた癖に、急に開き直って状況打開しちゃうんだよ? そんなのアリかよ。

 こういう描き方するなら、白コートの方にもひとつや二つ、回想が要る気がするなぁ。とにかく、きっかけが無さ過ぎて「試練」が全然試練に見えなかった。開き直って状況打開するのは良いけど、開き直るきっかけみたいなのはせめて欲しかったな。

 ヒロインの方も同じ感じで、話自体は凄く良いのだけど、説明する台詞が多すぎたり、CGがショボかったり、BGMが五月蠅かったり(特に最後の回想でのピアノは最悪)と、なんとも上手く回ってない感じがして観ててイライラした。

 特にイラッと来たのは最初の回想。多分、一回家に帰る口実が要ったんだろうけど、だったらそこをきっかけに壁画修復に向かう、でいいじゃん。なんで一回修復に向かわせて、最初と同じ理由で帰ってくんの? 完全に無駄だよ。くどい。くどすぎる。

 二つとも、「もっとキレイに見せる方法あっただろう……」とか「もっと深く描けただろう……」とか、そう思う余地がありすぎて、ストーリー的には全く入り込めなかった。う〜ん、ここ数週、こういうの多いなぁ「牙狼」。

 しかしッ!!

 そんな不満を吹き飛ばしたのが最後の黄金騎士・騎馬形態!!!(勝手に命名)なんてったって機械仕掛けの馬ですよ? お前はマジレンジャーか。その上それに乗って、刀は斬馬刀に変身ですよ? お前らはダイゼンガーとアウゼンザイターかってんだ(「第3次スパロボα」にそういうキャラがいるのです)。

 で、その形態でビュンビュン跳ね回り、ダイゼンガーとアウゼンザイターの合体技「竜巻斬艦刀・逸騎刀閃」そのままに、走り込んで斬馬刀で横薙。もう完璧、お前らスーパーロボット大戦参戦決定!(え?)ゲームの方でこのコンビを重用しまくってる僕としてはもうカッコイイやら嬉しいやらでテンション上がりまくりだった。

 その上、このバックにかかった影山ヒロノブ大熱唱!! この曲がまたカッコ良くて、久々にこの「牙狼」で「特撮!!」って感じの喜びを味わった。う〜ん、良い気分。それまでの展開がしっくり来てなかったので、余計に興奮したなー。当然全部CGだったわけだけど、人型じゃない分気にならなかったし。前半の、黄金騎士との戦いでのショボさMAXがウソのようだ。これからも、CGはこういう使い方して欲しいところ。お願いします。