「牙狼〈GARO〉」

 あー……やっぱりラスボスは京本政樹。別に良いんだけど、その「いかにも」な感じがちょっとなぁ。その上今までのストーリーに微塵も絡んでないしね。今まで、白コートとそれなりの関係を築いてたらまた違ったんだろうけど、ホントに今までは「居るだけ」だったしなぁ。ヒロインとの関係も、結局イマイチハッキリしないまんまだったし。多分、僕がどうも受け入れ難いのは、この「ラスボスのためだけに出しました」感だと思う。

 でも、流石に元々時代劇畑の人だけあって、立ち回りは堂に入ってた。何より立ってるだけでカッコイイってのが良い。イマイチ立ち姿の決まらなくて、表情もどうしても「わざとらしさ」が漂う(コートの形状の所為もあるんだろうけど)コート二人組とはしっかり一線を画してた。体捌きも見事なもんで、ラスボスの風格はしっかり出ておりました。それだけに、京本から傷の男に戻ったときの演技力の落差はどうにかして欲しいもんだけど。あの台詞回しはどう聞いても下っ端の悪役にしか聞こえない。役者さんには申し訳ないけど。

 ただ、それだけに変な色気出したアクション演出と、相変わらずのショボ合成は興を削ぐなぁ。アクションの方は、あのアタックの瞬間に下品なSEと一緒に画面を揺らす(何て言うのこれ?)演出が復活してて見辛いわスピード感無いわで最悪。すっかり僕はあの演出にアレルギーになりました。対コダマ戦は大分改善されていたのに、鎧戦になった途端にこの演出が復活してげんなり。何でそんなに画面揺らしたがるの? あんたが思ってるほど迫力無いよそれ。それに、足を怪我させといていつの間にか治ってるとか、シーン毎の繋がりも気にし無さ過ぎ。

 ショボ合成は、どうも製作側は「CGこそが理想の風景を作る」と思ってるようなんだけど、ラスボスが居るビルをCGで描くことでどれだけ興が削がれるか分かってない。どうしてもCG使いたいなら、もっとお金掛けて本物と見紛うぐらいにしてくれよ。何だあの安い水彩画みたいなCG。部屋から見える夜景までCGにして、一体何がしたいの。誰かこのショボCGを多用する理由を納得行く形で説明してくれ。

 で、逆に「CGでしか描きようのない世界」はちゃんとやってるかと思えばそっちもショボショボ。西の番犬所は東の番犬所に比べてあからさまにお金掛けられてないし、暴走白コートの背景は相変わらず書き割りみたいな無味乾燥、ついでに白コートへの照明の当て方、合成の角度その他諸々も外しまくってて、どうもそこだけ間抜けに見えちゃう。勘弁して下さい。

 ストーリー的には、コダマ(赤い鎧装着!)を相手に白コートの暴走を通して絆を深めるコート二人、そしてラスボスへ突撃……と大いに盛り上がっていいのだけど、視覚的には全く満足できない。いや、「満足」どころか興を削がれっ放しで 1 mmも興奮出来ないのがもの凄く残念。来週は、生身の合体神官が相手ということもあって、生身のバトルが多そうなのでそこは期待。ただ、どうも最近、黒コートが感情を出すようになってきた所為で、演技の拙さが浮き彫りにされててちょっと辛い……全然腹から声出てないんだもん。

 あと、どうせ「一度負けて再挑戦」の形をするなら、あんなにあっさりヒロインを誘拐させないで、「ダブルコートがヒロインを守ろうとして死闘を演じるも、敢えなく負けてしまい、目の前でヒロインを連れ去られる」という感じにしてくれた方が、白コートの暴走にもっと意味が出たし、「救出」と「再戦」のカタルシスがダブルで大爆発だったのになぁ、とちょっと思いました。別に今回ので不満なわけじゃないですが。

 オマケに書いておくと、白コートが暴走したとき、もしこれが東映特撮だったら「闇の力も自分の意志で吸収し、光と闇を併せ持つ、新フォームに転身!」とかになりそうだなぁ、なんて思ってたのだけど、そうはならなくて安心したというか残念というか、複雑な思いをしました。