「踊る踊る踊る!さんま御殿! 史上最強3時間夢の競演スペシャル」

 流石に、一対一じゃなくて沢山居る中でのトークだったので、濃度的にはそんなでもなかったのですが、それでも梨花円広志磯野貴理子なんかを、さんま紳助ダブルで弄る(しかも双方若干違うテイストで)様は、本人が言っていた様に「紳助が溜まりに居る」という不可思議な画と相まって、なんか色々豪勢でした。

 基本パターンとして、紳助以外に話が及んだときは、「紳助がキャラクター(弄る方向性)を説明→さんま助長 or 否定」というのがあったのですが、大抵の場合最後はさんま師匠が「紳助オチ」にしていて、その流がホントに流れるようで綺麗でした。見事なぐらい他のゲスト入る隙無し。

 個人的に、もっとも綺麗だと思ったのは紳助が嬉々として梨花のことを「さげまん」「さげまん」と弄って、「忙しくなったらこいつと付き合えば暇になる」とさんま師匠を煽ったときの、さんま師匠のこの返し。

「じゃあ、お前あのとき付き合ってたの?

美しい……(←反応間違い)。

 他にも、思いが一致したときの同級生二人のはしゃぎっぷりは、ギャラリー(正確にはゲストなんだけど)が居る分「今夜は眠れない」の比じゃなくて、予告で何度も流れた「二人でガキ刑事死刑」(本番で観ても傑作場面)、 20 年前にやった傑作アドリブコントをさんま師匠の「お前、へちま?」で思い出したり、昔のオイタ話を「日本昔話」風にオトした紳助に大喜びするさんま師匠など、仲良し全開で見所盛りだくさんでした。

 特に「二人でガキ刑事死刑」は、予告でしつこいぐらい観たのにそれでも大笑い。勿論、そのはしゃいでる様も良かったのですけど、まず紳助が立ち上がってやり始め、それにすぐ同調してさんま師匠も始めたため、丁度向いてる方向が逆になってて、画がちょっとしたメリーゴーランドになってるのも可笑しくってたまんなかったです。

 そういう具体的なところじゃなくても、紳助の紹介が度が過ぎたときに「それは酷いぞお前」とネタ抜きで注意したり、逆に煽ったり、そういう雰囲気がとても「往年の友達」っぽかったです。

 それと、これは「今夜も眠れない」とかでもそうでしたが、紳助が喋ってるときのさんま師匠の顔は、珍しいぐらいに「聞いてる顔」で(上手く説明出来ないんですが、ホントにそういう感じ)、信頼が見えて好きです。

 さんま師匠も紳助も、互いに「切り札」というか「弄り所」みたいなのを持ってるのですけど、少なくてもトークの場ではほぼ間違いなくさんま師匠の方が先に「隙」を見付けて上手くそのカードを切っていて、そういうとこにこの二人の関係性が見えて微笑ましい。半世紀ちゃん二人捕まえて「微笑ましい」もクソも無いですけど。

 例えば上のもそうだし、川村ひかるが魔性の女、という話のときに「メールをしてて……」と言っただけで「お前もハマってるやん」って指摘したりする場面もそれ。こういうときの、紳助の「しまった! こいつに隙を与えてしまった!」顔が可笑しい。きっと、若手の頃ってこんなのが日常だったんだろな。

 そこに加えて、「27時間テレビ」で叶わなかった東野との絡みが実現したのもポイント。さんま師匠の紳助弄りに嬉々として加わったり、さりげなくさんま師匠と紳助の話を他にナビゲートしたり、良い仕事っぷり。次、いつあるか分からないけど、そのときはWコージでお願いします。

 でも、冒頭でさんま師匠が「こいつ『えらいことしてもうた〜』って電話してくる」と言ったときに、「えらいことしてない!」って立ち上がったのはいくらなんでも過剰反応だろうと思ったけど。まだあの件を笑いにできるのはさんま師匠だけなのかな。

 話の流れで「そのことは『行列』に行ったときに話させて頂きます」ってさんま師匠は言ってたけど、ホントに出ないかなぁ。もうこれで今年だけで 3 回、さんま師匠の番組(「うまッチ!」は違うか?)に来て貰ってるわけだし、ここはひとつ、恩返し的なアレで……。今回と立場逆転したらどうなるかってのも観たいし。日テレさん宜しく。

 これを観た後だと、悪口でも何でもなく、ナインティナインは思っていた以上に「普通の若手」に見えました。ナインティナインが面白くないとかでは勿論無く、場をたった二人で「中学時代の自分達の部屋をみんなで覗いてる(たまに口出す)」みたいにしちゃったのに対して、「ぐるナイ」のパートはナイナイがちゃんとゲストの一員だったという意味で。同級生トークで番組が出来ちゃうのがそもそも異常なのです。

 そんな中、ナインティナイン・矢部が、「コンビの掟を破ってピンの仕事を獲得」という話題のとき、「どういうことやねん」としっかりダメ出しの目になってるさんま師匠に笑いました。あんな目に 10 年以上睨まれてれば、そりゃいくら世話になってても(上が詰まってる、とは別の意味で)「死なないかな」とか思うよね……。

 そして、事前の予想通り、みのもんた他大勢のパートは激しく蛇足で、僕はずーーーーっと、昔爆笑問題・太田がラジオで言っていた

「掛布はハゲるのかハゲないのかハッキリして欲しい

という言葉を思い出し続けて終わってしまいました。芸人達の鬩ぎ合いを観た後なのに、みのの寒気がするぐらいわざとらしいコケなんか観てられるかって話ですよ。野球にも思い入れ無いし、朝は主に「めざまし」が付いてるし、ととことん僕には縁のない時間帯でした。

 それにしても、円さん、その「へちまのコント」のビデオ、売ってみませんか?(商売かよ)観てぇなぁ、それ。本人達が「傑作」って豪語するぐらいだし。