「天元突破グレンラガン」(終)

 最初の頃は「グレンラガン」なのか「グレンガラン」なのか「グラン・ガラン」なのか「ゴラオン」なのか「ウィル・ウィプス」なのか(しつこい)よく認識出来なかった僕も、螺旋王との決戦辺りからはどっぷり。壮絶に面白すぎ、週によってはその週の全てのテレビが色褪せてしまうほどのパワーを持っていて、個人的暫定今年度ナンバー 1 であります。

 とにかく、「天元突破」の名の通り、最初から最後まで真正面からブチ抜いていったのが爽快であり感動であり。「『正義』とは何か?」を悩まなくちゃいけないとか、善行をすれば必ず「偽善」と罵らなければならないとか、そう言った昨今の風潮をものともしない作風に好感を押さえ切れなかった。

 正直、最初の方は「こんな調子で続くのも最初だけなんだろうなぁ」と思っていたけれど、2 クールに 4 部構成という若干詰め込み過ぎなぐらいのスケジュールのお陰(?)で、中だるみ無し、寄り道無しで目的地へと突っ走っていく構成は、少年心鷲掴み。ウダウダ悩んだりすることなく、ただひたすら一つの主張を通し、最終的にそれが宇宙を救う、という展開は男の子魂を揺さぶる。あぁ、なんたる潔さ! おじさん泣いちゃうよ!!

 冷静に事象だけを眺めると、都合のいいときに都合の良い兵器があったり、都合の良い変形をしたり、何でもかんでもトントン拍子に行くし、奇を衒った様な展開は全く無く、誤解を恐れずに言えば誰もが思い描く理想をそのまま描き出してる様な展開ばかり。でも、それでも、僕みたいなクズのような輩にも手に汗握らせてしまい、グレンラガンのドリルが何かをブチ抜く度に、心の奥底から何かを沸き出させるという事実に、生来“ベタ”を愛好してきた身としては嬉しくて嬉しくて泣けます。

 個人的にお気に入りだった回はいっぱいあるけれど、やはり最終回前が一番燃えた。燃えすぎて、普段は絶対やらないのに、全然アニメを観ない友人に「この間の『グレンラガン』が凄かった!」と 5 分ぐらい支離滅裂に語って愛想笑いされてしまったぐらい。ようやく辿り着いたアンチスパイラルの目前で多元宇宙に捉えられ、別の可能性宇宙に飛ばされてしまったシモンが出会う“あの男”。

 その展開だけでヤバかったのに、その後の「いつの間にか背追い抜かれちまったな」で心の涙腺崩壊。「ぬあ〜ぬあ〜」と呻いてる内にグレンラガンが降臨し、「待たせたな」と言われて心で失禁。それを踏まえての最終回は、まさかの登場だった上川隆也(新感線つながり?)のまさかの熱演のお陰で更に大盛り上がり。

 トドメは、「地球人類全員が応援」という、もう卑怯だぞ! と言わんばかりのベタシチュエーションで、これまた卑怯だぞ! と言うタイミングで流れ出す主題歌。その主題歌に乗って散っていく螺旋王、そして炸裂するラガンインパクト!!!!! あぁ、泣いた。本気で泣いた。エピローグも非常に素敵であったし、正直僕では文句の付け所が見あたらないのです。

 繰り返しになりますが、これだけ真っ正面から(悪い言い方をすれば、使い古された方法で)取り組んで、これだけの面白さというのは、もう個人的には空でも飛べそうなぐらい嬉しいのです。色んな作品があって全然良いけれど、それでもこういう作品がまだこれだけの強度を持てるという事実。ことのついでに未来ってちょっと明るいかも? なんて思えちゃう次第です。これからも、こういう作品がずっと強度を持って続いてくれると、本当に嬉しいです。そういう意味での希望をくれた本作には、最大限の感謝の意を捧げたい。ありがとうございました。

 あとは、(何かロボットアニメ観る度に書いてますが)「スパロボ」の参戦が楽しみだな。「キングゲイナー」「エウレカセブン」「閃光のハサウェイ」、そして本作「グレンラガン」が揃い踏みの(個人的)夢のスパロボは出ないかなぁ。世界観合わせるの大変だろうけど、お願いしますよバンプレストさん!! 「OG」なんか作ってる場合じゃないよ!(おい)