「やぐちひとり」

 「やぐちひとり映画祭」ということで、ワーナーの劇場をひとつを貸し切って、観客あり(と審査員)な上に進行役に局アナが居るという番組史上初の状況に。応募作品も「 45 本」も来たそうで、劇団ひとり思わず

チャンスだと思っちゃったんだねぇ

ところが、審査員の映画関係者が「いいのがあったら連絡先聞いて帰る」と言ったことによって、実際にこの場がチャンスであったことが判明。劇団は訂正して

小チャンスだ小チャンス!

その小チャンスを掴むのは!?

 で、実際の応募作品の方ですが、放送されたのは全部で最終選考通過の 10 本。その全てが全編CGだったり本格ロケだったりと本気と書いてマジな出来で、やぐちひとりは勿論、観てるこっちまで戦慄する思いでありました。劇団、あまりの本気具合とクォリティに

もっとチョロいと思ってた!

本気丸見えです。

 そんな本気作品の中、異彩を放ちまくるのが「グリーン2」と「JOY×JOY」。「グリーン2」は、いつぞや「むっしーむっしーむーしむし」と歌って壮絶にボツになった作品の続編。同じメロディ・セットながらも、チョウチョが出てきて「あんたなんか無視よ!」とダジャレで終わるという勇気ある作品。これに、会場で矢口真里さんだけが呼吸困難寸前という微妙な会場の空気も合わさって色んな意味で怪作でした。

 「JOY×JOY」は、通称ワッハッハ体操の先生が作った、先生と生徒らしき女の人がワッハッハ体操してるだけという新興宗教の勧誘ビデオみたいなショートフィルム。会場にも登場した先生は、観客を呆然とさせる天才だと思いました。

 肝心のやぐちひとりの監督作品は、矢口さんの方は中学生男子の妄想のような作品で、「あーこの人は劇団ひとりに毒されまくってんな」と思いました。あれ、男が撮るなら分かるけども。だってね、「いつも先を越される知らない女が泣いていたので全然知らないのに手袋渡す」という映画ですよ。新手のストーカー講座かよ。

 更に、見終わった後に演出意図を全部説明し出すという凄い愚行に出る矢口さん。その上、本人が一瞬カメオ出演(っていうのか?)してるのですが、一瞬なのにその演技の下手さを存分に発揮していて、あー矢口さんすげーと思いました。

 劇団監督作品は、本人が一番美味しいとこ持っていく上に、「ラブストーリー」だっつってんのに男が女を撃ち殺すシュールオチという、「あー劇団っぽーい」を地で行った作品でした。普通に自分の持ちネタにありそうなネタ。

 結局、最優秀賞は一般応募のCG作品「LOVE MACHINE」(普通に凄かった)が受賞、そして審査員特別賞として矢口さんが選ばれるのでした。あれ? 賄賂でも?(酷い)

 その他、「クリスマスパーティ」と称してしほりん先生が買ってきたパンや惣菜を使って色々作るも、矢口さんが暗に拒否したのを劇団がちくちく弄り、それをしほりん先生がキレて「もういいです!」「帰る!」となったところに、矢口さんが「こっちの方がかわいかったってことですよ!」と逆ギレ、テロップに「MCは全部を愛しましょう」等と出て、最後は白黒バックになって何故かホラー調で締めという、至極無益な時間がひとつ。

 会場でゲストに井上麻里奈を招いて、「リアクションを学びたい」とコーナーをやったのですが、用意したお菓子があまりにも普通で誰もリアクション出来ないという無益な時間がもうひとつ。

 折角のスペシャルなのに、全体的にここまでふわふわしてるこの番組が好きです。

 個人的に、この日一番衝撃だったのは「あなたの知らないエンタメの世界」で紹介された「ボクといっしょに食べようよ、イーテぃン。」というDVD。なんと、画面の中で知らない人が食べてるだけのDVD。なんでも「孤独な人が、誰かと一緒に食べてる気分を味わうためのDVD」らしい。なんかもう、末期だなぁと、特に何の脈絡もなく思ったDVDでした。