「仮面ライダーカブト」(終)

 結論から言うと、満足からは程遠い最終回。

 何故ラストカットがコントみたいな合成なんだ、ホッパー兄弟どうした、登場するならスイッチ押す前だろ、何であんなに装置は簡単に壊れるんだ、ダブルライダーキックへの“溜め”が無さ過ぎる、肛門が二つある男の末路がショボすぎる、等々もう「痒いとこに手が届いてない」感じが溜まらなかった。どうせなら、「クウガ」のように今回は丸々根岸 & 三島との決戦を描き、最終回は丸々後日談にする方が合ってたかも知れない。

 でも、それでも、加賀美がボロボロに負けて、「もう駄目だ!」という瞬間に「おばあちゃんが言っていた……」とやってくる天道、ボロボロになりながらも立ち上がる加賀美、全てが終わった後「一度しか言わないからよく聞け」と感謝の意を述べる天道には、「クーーーッ!」と思ってしまうのだな。そういう意味では、平成ライダーではトップクラスで「ヒーロー」を体現している二人と言えるかも。

 10 話前後、具体的に言うと加賀美がザビーを辞めるまでは、もう間違いなく平成ライダーの中ではダントツに「ヒーロー番組」で、話は燃えに燃える展開、アクションはクロックアップの応酬で、視覚的にも聴覚的(?)にもとてつもなく面白かったのですけど、その後は結局、「自らの課した設定に雁字搦め」になってクロックアップも無くなり、話も突如出てきた「ネイティブ」という第三勢力がいつの間にか主軸になり、よく分からないまままとめあげられてしまった感がありあり。

 キャラクター達は、どれもこれも非常に魅力的。天道は素晴らしいヒーロー、加賀美も別のベクトルでヒーロー、立派なダブルライダーだったし、「パーフェクトハーモニー」だった頃もやさぐれた頃もそれなりに面白みが込もってて、画面に出てくる度に何か思わせれくれる矢車、駄目すぎるヤツだったけど、例年の平成ライダーの「嫌なヤツ」よりよっぽど愛らしかった影山、アクが強すぎたけど段々それが面白みになった風間、「ザ・愛されキャラクター」に輝いた神代、ライダー達はどいつもこいつも楽しいヤツだった。田所さんをはじめとしたサブキャラ達も言わずもがな。そもそも、全員が初登場からキャラがずっと一貫して終わったということ自体、「平成ライダー」では奇跡に近い。

 ただ、そのキャラクター達を上手く交通整理してまとめあげるべき「構成」に、ちょっと難がありすぎた。平成ライダーのプロデューサーがよく言ってる「ライブ感」(要するに「大風呂敷はどんどん広げろ」)を全部否定する気は無いし(「クウガ」の中盤のように、カッチリ作りすぎて逆に退屈、というようなものもどうかと思うし)、それだからこそ生まれる面白味もあるとは思うけども、やはりこれだけキャラクター達が「育った」んだから、それに相応しい物語を与えて欲しかったと思わずにいられません。

 結局、折角「平成ライダー」の枠をブチ破るような可能性を秘めていたのに、「平成ライダー」の枠自体に足を取られてしまったというのは、なんかもう非常にやるせない気分になる次第です。あぁ、勿体ない。っていうか、「平成ライダー」はいっつも「勿体ない」で終わらせてる気がするよ! 天道(のおばあちゃん)風に言うと、「最高級の材料を持った者が、最高級の料理を作れるわけではない」と言ったところ? 残念無念也。

 「電王」は、取り敢えずその見掛けのあまりのカッコ悪さを、何でカバーしてくるのかに不安と期待半々。結局、見た目のカッコ悪さを一切カバー出来ずに共倒れしていった「剣」と同じ目に遭わないことを祈ります。