(新)「僕の歩く道」

 「シリーズ」ということになっているらしい「僕の生きる道」も「僕と彼女と彼女の生きる道」も全話オンタイムで観てきたので、今回も視聴。一応、テーマがテーマなので「自閉症」については軽〜〜くではあるけれど予習して臨みました。

 ただ、軽く予習したからと言って即座に理解できるわけもなく、実際に接したこともないので、このドラマでの描写がどこまで正確なのかは正直コメントのしようがない。例えば、「指示は具体的に示さなければダメ」と言っていた都古が、ネズミを探すときに「あっちを探して」と指示していたのは、果たして脚本のミスなのかそれとも場合によるのか、そんなことすら分からない。深刻になったり、説教じみたりしがちな症状解説シーンを一見コミカルに描いたりする姿勢には好感を持つのだけど、根本が分からないとどうにも。

 なので、「そういった部分以外」の「ドラマとしての部分」のみの感想を述べますと、見終わっての第一印象は「相変わらずベッタベタだなぁ」。「生きる道」での主人公の無気力っぷり、「僕と〜」での仕事人間ぶりなど、元々このシリーズでは人間描写に於いては奇を衒った部分は殆ど無く、大体の人物は第一印象通りの人物で、想像を出ない範囲で変化していくのが常。

 今回でも、「テーマを司る主人公」「それを支える人々」「無理解な人々」「社会を気にする人々」「悪意を向ける人々」、そしてシリーズお馴染み「完璧超人のヒロイン」と、もう必要な食材は全部揃えましたよと言わんばかりのキャラの配置具合。そこから発生する話の筋も想像の範疇を出ないものばかり。

 別にそれが悪いというわけでは勿論なく、そういう王道を丁寧に丹誠込めて描くからこそこのシリーズはあれだけの出来だったことは間違いないのですが、やはり「もう少しスパイスが欲しい」と思ってしまうのが人間の欲なのでありますな。そういうのを求めるドラマでは無いことは分かり切っては居るのですけど、これからの展開が既にありありと見えてしまうだけに、どうしてもそう思ってしまうのでした。でも、それを裏切ったらこのドラマはこのドラマで無くなってしまうし……難しいモンですな。

 とにかく、初回の印象としては都古の設定に少々の驚きを覚えたぐらいで、あとは大体事前に知っていたあらすじから想像された内容そのまま。それは正しい姿なのですが、時折挟まれる意味がよく掴めないイメージ映像や、(しょうがないとは言え)解説の多さにより、「生きる道」での死の宣告、「僕と〜」での決定的な別離などと比べると(作品テーマを提示する)決定的なエピソードに欠けていて、扱う題材の難しさを早くも醸し出していて、これまでのシリーズのように描けていけるのか、少々の不安は過ぎりました。

 役者陣的には、意外と極楽とんぼ・加藤が白眉。「クロサギ」のときと言い、なかなか雰囲気のある役者になっていて感心致しました。草なぎくんに会話を仕掛けていくシーンなんて素晴らしいじゃないですか。あとは、その雰囲気から醸し出されるどうしようもない腹黒感が、ドラマとしての狙いなのか加藤の地なのか、そこが注目か。他の人たちは、まぁこれからが本領発揮と言ったところで今はなんとも。

 取り敢えず、継続視聴決定。