「仮面ライダー響鬼」

 「土手で殴り合って寝そべりながら意気投合」ってもうすぐ平成 18 年だよ?

 だーーーーかーーーーらーーーー………何度も書いてホント申し訳ないけど、それは明日夢くんの役目だから! 「折角得た武器も、自分の力では無いから使わない」「響鬼から『強い奴は笑うんだ』」って、いつから主人公交代したんだ? って感じだ。

 多分、「明日夢くんの『人の役に立ちたい』という意思は、鬼では無い別の場面に活かされる、そして転校生は鬼に」って方向に持っていきたいと思うんだけど、それあきらでやってやれよ。何のために辞めたんだよあいつ。釈然としねぇなぁ……何でそんなに転校生は気に入られてるの? 今の明日夢くんと転校生は、既に「ライバル」という対立軸さえ失われてるじゃん。全く切磋琢磨する様子もなく、なんとなく明日夢くんはリタイアさせられそう。

 僕は、最初明日夢くんは「響鬼から色々なことを学びながら、鬼とは違う道で自分を鍛え、成長する」主人公だと思っていた人間だけど、鬼に片足突っ込んでから「やっぱりこの道は向いてませんでした」はちょっと……あきらとカブってるし(まぁ、あきらのも納得できるもんじゃないけど)、それに今まで響鬼が弟子取りに悩んだ期間は何だったの? って話だ。頼むから、そんな展開は勘弁して貰いたい。

 つーか、魔化魍って人を食うんじゃ? ちょっと人焼いていくって小学生のイタズラか。で、友達襲われた後なのに普通に歩いてんなよ。警戒をしろ、警戒を。

 で、とうとう死んじゃった斬鬼さん………………………………………。「再起不能の癖に気合で復活ってどういうことだ」とか「直前まで歩くのもままならなかった癖に、変身後の動き良すぎ」とか「何で街中に大型魔化魍が出てるのに、響鬼とイブキは先に明らかに被害の少ない小型の方に向かってるのか」とか「魔化魍は、『人を襲う』のに、どうして鬼のところに狙い澄まして出てくるの」とか「病院と河原、どんだけ近いねん」とか、他にも色々でかい穴空きすぎなのだけど、やはりメインキャラの退場は哀しいなぁ……。久々の師弟共闘は素直にカッコ良かったけどさ。

 これが、必然性のある死(というのもおかしいけど)だったらまだ良いけど、斬鬼さんのはやはり唐突な印象が最後まで拭えなかったのが、余計に哀しい。なんか、「話の盛り上がりのためだけに殺された」感というか。斬鬼さんが登場して、「渋すぎるー!」って騒いでた頃は、こんな結末が来るとは思ってなかったなぁ……。

 そんな、斬鬼さんの釈然としない退場にモヤモヤしてたら、今度は次回予告でイブキが「死にたくない!」と来たもんだ。もう辞めようよ、死ぬのとかさ。響鬼の「死」についての説教は非常に重要かも知れないよ? でも、だからって本当に殺さなくたって。「死」は生きてるからこそ感じられるんだ。死んだら終わりだ、何もかも。「人が死んだらどうなるか」を想像することこそ、こういう番組で教えるべきことだと思うが。

 ここ最近の響鬼は、週を追う毎に気分が沈むばかり。唯一、轟鬼の「ギター二刀流」だけが、視覚的に楽しみであるだけ。何故、みんなが笑えるハッピーエンドではいけないのだ? 人が生きるためには、しかも魔化魍が居る世界ともなれば、色んな犠牲の上に平和があるのは事実だろう。確かに「何にも犠牲が出ない平和」なんて嘘だし有り得ない。でも、そういう、時にキレイ過ぎる有り得ない嘘がひとつくらい、たまにはあったっていいじゃないか。それがフィクションの世界というものだし、それを魅力的に演出するのがクリエイターってもんだろう。

 そんな嘘さえ許されなくなったフィクションの、なんと窮屈なことか。今や、番組コピーの「ぼくたちには、ヒーローがいる」も、ただただ空疎である。お願いだから、笑って終わらせてくれ。それ以上は望まないから。

 残り三話か。全 48 話って、例年よりちょっと短めだな。もう来年のライダー撮り始めてんのかな。