「ヌイグルマーZ」
映画としては、正直あんまり褒められた出来じゃないと思う。仕込みに仕込みまくった小ネタの数々と、王道なストーリー展開の食い合わせが微妙に悪くて、なんかずっと「笑いの保険」を掛けられ続けているような気まずい気分になる。じじ・ぶぅの使い方とかさ。説明台詞を大げさに言うネタにしても、肝心要の部分でもそれやっちゃうと、結局(観てる方を)バカにしてんのかな? って印象を受けてしまう。そんな意図がないことは分かってはいますけど。
でも、それでも、この映画で僕はボロ泣きしてしまった。
特に、予告編でも使われているヌンチャクシーン。特撮ヒーローを愛し、その心を救われてきたひとりの少女が、かつて夢見たヒーロー達のようにヌンチャクぶん回し、敵をなぎ倒していく。走り方は不細工だし、脚は上がってないし、身のこなしはぎこちない。でも、それでも、ポーズを決めて次の敵へ向かってく姿。それは、「私は、あなたたちのお陰で強くなれました!」という全力のヒーロー達への恩返し。
あの瞬間の、「中川翔子」としてのノンフィクション。
そりゃ号泣だよ!
それだけに、映画として全体を観たとき、ヌイグルマーが武田さんなのが若干不満に感じてしまうのですよね。別に武田さんは全く悪くないけど、ここまで闘った中川翔子が、あのコスチュームを着て、ぎこちなく、鈍足で、上がらない脚を必死に上げて、伸びない腕を必死に伸ばしながら、それでも必死に“ヒーローとして”誰かを守り、闘う姿こそ観たかったなぁ、と思う訳です。最後の、あんなサービス的な変身ではなく。そこまでやって、初めてしょこたんの「恩返し」は完遂されるのではないかな〜なんて。
でももしかしたらそれは、僕自身がヒーロー達に何の恩返しもできていないからこそ思うことなのかも知れない。単刀直入に言って、しょこたんがすげー羨ましかったです。