「Z女戦争」
妙に好きです、この曲。
だって、ここまで正しい特撮ヒーローソングって最近なかなかないですよ。
特にその歌詞世界。
一番の構成なんか、戦闘を生活とする女の子の描写に始まり、まさに第一話のオープニングに相応しい。そして「戦闘形態」と「日常形態」の二足の草鞋を表現(※勝手に主人公を変身ヒーローに仮定しています)して、最後のサビではその日常を超えてやっぱり戦闘突入。理想的な第一話ですよ。
しかし二番ではそうやって戦闘と日常を過ごしながらも、「日常」に於ける「どんな女の子でもやっていること」に対する憧れを表現しています。要するにこれは、「仮面ライダー」で本郷猛が水道の蛇口ぶっ壊しちゃうのと同じ葛藤なわけですよ。「どこかであの子を見ていたい / 放課後呼び出しでマストダイ / ちょっとドキドキしちゃう学園生活」という生活に憧れながらも決して踏み込めない領域であることを自覚しちゃうんだろうな、主人公は。
そして主人公は決意するわけですよ。「自分があの人たちみたいになれないのなら、せめてあの人たちの生活を守ろう」と。燃える!
しかし、もうシリーズも中盤になりますと(←仮定)「でっかい奴があらわれた!」な感じで敵も強大になってきて、主人公たちには手痛い敗戦や、それに伴う無理なパワーアップをやらされる羽目になる。そういう試練続きの中で「気づく弱い己が心」と負けそうになる。それでも主人公たちは「でも絶対譲れない意地ならパパ譲り」と戦い続けるわけです。
それは何故か?
本当は「ずっとみんなとはしゃいでたい / たくさん写真も撮りたい / きっとわくわくしちゃう林間学校」だけど、もう彼女たちは決めている。自分は「私たちは『みんな』じゃなく『みんな』を脅かす存在から『みんな』を守るんだ」と! だからこそ「ぶち壊すなら容赦しない だって青春してたい」んですよ。この「青春してたい」が「自分たち」に掛かってないところがミソですね。
でも、最終話直前(←仮定)戦い続けうちに彼女たちはどんどんと疲弊していき、最後は命尽きる寸前までいってしまう。そんなとき、彼女らの耳に聞こえて来たのは、今まで自分たちが守っていた人たちからの歌声だったのだ! 「悩めるときも迷えるときも / 愛を持って導こう / 光たれ」と!!
歌声によって立ち上がった彼女たち「正義の乙女」は、最後の力を振り絞って放った「最終秘奥儀」なんとか敵を倒す。でも、それで彼女らの戦いは終わった訳ではない。今回のみんなの助けによって、心の底では「本当は誰かに甘えたい / そっと優しくされたい / ちょっとくらくらしちゃう極楽天国」と思ったけれど、それを口に出すわけにはいかない。「でもね皆を守りたい / もっと強く強くなりたい」と決意を新たにして、再び戦いの場へと赴く正義の乙女たち! そこに「ベルが鳴る!また襲来だ!」to be continue。というわけですね。
……という具合に、曲を聴くたびにこういう物語が想像され、大変ウキウキします。最近の曲で、ここまで歌詞にはっきりとした起承転結のストーリーがあるものって珍しいような気もしますがどうでしょう。歌詞世界がすごくヒーロー成分を押さえまくってて魅力的な分、この曲のPVはヒーロー成分の押さえ方が中途半端で、若干そこが不満です。あのアーマーは絶対キャストオフするだろうよ! あの足には絶対スラスターついてるんだから滑空ぐらいするだろうよ!
というわけで、東映さんは早急に「Z女戦争」の正式な特撮ドラマを作るべき!
割と真面目に、「フォーゼ」が本来目指すべきだった「学園ヒーローもの」の感じって、こういうのだったんじゃないかなぁとちょっと思っております。
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