(新)「仮面ライダーW」

 やっつけの極致とも言えた「ディケイド」の後だからか、その余りに律儀な構成にちょっと感動。

 具体的に言えば、ファーストシーンで主人公の背景をざっと説明、ヒロインの登場に合わせて物語の舞台と主人公の現在を説明、起こった事件に平行して怪人側の説明をしつつ怪人登場、その調査過程でヒロインのキャラをアピールしつつもうひとりの主人公の設定を説明、諸々終わったところでバトルに突入、そして次回への引き。

 どうですか、これ。何だか初心者脚本コースのお手本のようなプロットですよ。

 僕があらかじめ公式サイト等で予習しているからかも知れないけれど、少なくともこの第一回於いては「どういうこと?」と思うような部分は一カ所も無かった全ての設定が分からず仕舞いという奇跡を起こしていた「キバ」の例を出すまでもなく、「思わせぶり」が信条の(?)平成ライダー史上に於いてはもしかしたら「クウガ」以来かも、と思える見易さでした。

 ただ、だからと言って手放しで面白かったかと言うと……。

 まず、「風都」という設定が、そのネーミングも背景美術も死ぬほどダサい。敵側を「企業」にしたお陰で、「リュウケンドー」みたいなマヌケさは脱却してるとは思うけど、じゃあ有効に機能しているとも思えず、主人公の如何にもおっさんが考えました的探偵ルックも合わさって、何かちょっと恥ずかしい気すらしてしまう。

 加えて、主人公ふたりの声質が似すぎてる所為で、W になっても二人が別々に喋ってるのが分かりづらい。その変身してからも、CG 全開な上にメモリ周りの動作がまどろっこし過ぎる所為でリズムグダグダだし、ライダーキックに至っては論外のカッコ悪さ。何でも斬新なら良いってもんじゃないよ。

 初回から主人公 + ヒロインのキャラがそれなりに立ってる(ヒロインのガニ股歩きはちょっと面白かった)し、設定や謎解きで引っ張ろうとしてない所など、あちこちにこれまでの平成ライダー悪しき慣習を逃れようという気概は感じる(「ディケイド」の後だから余計に)し、例えば新アイテムの登場の仕方ひとつ見ても、ただ投げ入れるだけじゃなくて幼心のワクワク感煽りが絶妙な演出(グワーッと来てバッキーン! な感じ)を施したりと、期待したい部分は随所にあるのだけれど、それと同じぐらい不安要素もあった初回で御座いました。

 真面目に作った結果、アクション部分を犠牲にするという、「クウガ」の中盤のようなことにはならないで、何とか一年やり通して欲しいと思います。取り敢えずは、来週の解決編だ!

 ……あ、主題歌のイントロは、平成ライダーどころか個人的に「V3」に匹敵するカッコ良さだと思います。そことマフラーの意匠だけは手放しで絶賛。マフラーってサイクロンジョーカー限定なの?