「炎神戦隊ゴーオンジャー」(終)

 まぁ、今更ですが。

 「キバ」同様、結局最後の最後まで乗り切れずに終わってしまいました。しかも、昨年の「ゲキ」は様々なチャレンジ要素が的確にスベっていた故の乗り切れなさでしたけれども、今年の「ゴーオン」に関してはベタのやり方が下手すぎるという「それ何重苦だよ!」という乗り切れなさ。一言で言うと、フォローのしようが無い

 とにかく、役者陣の演技力が結局最後まで向上しなかったのがイタイ。特にレッドの人は、台詞以上に動作がぎこちないので、いつまで経ってもキメるべきところでキマらなかった。キャラクターとしてはみんな一貫してはいたけれど、それを映像の中で魅力的に魅せられていたかと言えば……という感じでしょうか。っていうか、動けて、喋れて、アクションできて、しかも変身までできるのに、あらゆる面に置いて CG 書き割りに負けちゃダメだろう。

 お話としても、最初から最後までベッタベタを通したのは立派だと思うけれど、結局その全てが単に古いだけだったように思います。ベタだからこそ必要となるはっちゃけたケレンと言いますか……。

具体的に言えば、例えばしょーもない作戦をやっているときに、誰かに「しょーもない」とツッコませてしまったり、あるアイテムが新登場したときには、どうしても「これは○○が○○という経緯で作って……」という説明を加えてしまって、「これはこういうものなんです!!!」と力強く言い切ってしまえるような力強さ(その姿勢の是非はともかく)全くない。簡単に言えば、作劇がどこか弱腰なのだな。

 その煽りを一身に受けたのはガイアーク陣営。最初から最後までゴーオンジャーを凌駕するキャラクター性を持っていたというのに、それを活かしていくことにどこか引け目を感じているのか何なのか、次々と幹部より上位存在を作り出しては捨て、結果的に書き割りボスキャラクターでお茶を濁して終劇してしまった。

 特にガイアークの目的が「人類撲滅」とか「世界征服」ではなくて、「自分達が住み易い世界を作る」というのは、結構遊び甲斐がある題材だったと思うのですけど、確かにそれに幹部達は殉じて行ったけれども、あれじゃあダメだよなぁ。ヒーローとぶつかり合わなきゃいけないところで、結局ヒーロー側に擦り寄っちゃってるもの。「勧善懲悪」というのは、単に「悪い事する奴を成敗すること」ではなくて、悪の信念と善の信念のぶつかり合いでなきゃ何にも面白くないと思うんですけど。

 今のご時世に「子供に分かり易い単純明快な戦隊を」という姿勢は買うし、個人的には嬉しかったのだけど、ここまで不器用な結果を見せられると、何か大変辛い気分になる。頼むよ、頑張ってくれよもうちょっと……。