「獣拳戦隊ゲキレンジャー」

 予想通り、理央とメレが主人公だったなら、圧倒的にヒーロー番組として正しいエピソードでありました。愛する者のために身を犠牲にしようとするヒロイン、自らの運命に一度は絶望するも、ライバルの叱咤激励によって奮起、愛する者を救い出し、呪縛を断ち切って愛する者と共に宿敵を打ち倒し、新たなる道へと歩み出すヒーロー……う〜ん、カッコイイ。「それを俺に言わすのか?」とかほぼ反則。

 一方で、ホントの主人公である筈のゲキレンジャーの方は、ギリギリレッドだけは「ライバル役」として体裁を保っていたけれど、それ以外は単なるお飾り……というか、キャンキャン吠えやがる分、よりタチが悪かったかも知れない。そもそも、ゲキレンジャーがメレを助けなければならない理由が皆無なのが痛い。例えば、バイオレットが「友の大切な人を死なせるわけにはいかない」とか何とか言って引っ張るならまだしも、何故か今週になった途端「メレを助けるのは当然」という具合になっていて大変な違和感がありました。

 ゲキレンジャーを動かさなければならないのは当たり前なんだけれど、だったらちゃんと理由付けが欲しかった。別に「ロンの好きにさせるのはどうにも腹に据えかねる」とか、そんなショボい理由でも良いんですよ。なのに、しっかりと道筋を用意された理央と違って、今回のゲキレンジャーの行動の理由は結局のところ「ヒーローなんだから当然こうするってみんな分かってるでしょ?」という、パターン依存の怠慢でしかないように思えます。勿体ない。

 激臨並び立ってこそ、初めて共闘するカタルシスが爆発すると思うのだけど、結局何もかもが理央の引き立て役でしかなかったことを証明したようなものでした。というか、そもそもここまで安易に共闘に行くこと自体、あまり歓迎したくないのだけど……。

 唯一、レッドとリオの間断のない連続攻撃はかなり美しい格闘アクションに仕上がっており、一瞬とは言えそこだけは素直に燃えました。すぐにショボい合成になってしまうのが口惜しくてしょうがない。