「ドリフ大爆笑 30 周年記念スペシャル」

 「全員集合」の何周年だかのときは、あっちこっちで芸能人が個人的な思い出を語ったりするばっかりの若干ズレた記念番組が乱発されておりましたが(いかりやさん逝去の関係のもあったからしょうがないんですが)、今回のはやっつけ仕事なのか、50 個のコントをランキング形式でただひたすら放送するという非常にシンプルな内容の記念番組。故に大満足の 2 時間でした。

 放送時間の関係か、オチをカットしたり、長いコントの中から一部分を抜き出しただけだったり、「あの名作が入ってないなんて!」と思ったり(まぁ、DVD-BOX 発売があるから全部放送するわけないんですが)多少不満はありましたが、長いのから短いのまで、志村けんメインから仲本工事メインまで幅広くチョイスされていたし、とにかく不純物ゼロで観るドリフは最高の一言。僕が唯一オンタイムでドリフを体験できた、という意味での思い入れもあって、楽しいのなんのって。やっつけ仕事万歳!(おい)

 どれも面白かったですけど、その中で、個人的に嬉しかったのは以下の「アル中の居酒屋」と「将棋名人戦」。どちらも志村けん師匠の絶妙なコメディアンっぷりが堪能できる名作です。

 「アル中の居酒屋」は「もしも……」シリーズのひとつで、いかりや扮するサラリーマンが訪ねた居酒屋の店主が、酒で体ボロボロになってて 体のふるえが止まらずに縄で支えないとまともに座れさえしないというよくよく考えると凄まじい設定のコント。しかしもっと凄いのは、こんな設定なのに傍若無人な振る舞いを一切しないという点。

 サラリーマンはもの凄く気を遣うし、それに応えるようにアル中店主ももの凄くサービス精神旺盛なのに、アル中だからまともに出来なくて、それでも「酒を飲むと一瞬だけまともになる」という特技を活かして、なんとかちゃんとしたサービスを……! と奮闘する姿が最高。ブルブル震えながら浅漬け切り刻んだりビールぶちまけたり湯豆腐ばらまいたりは、殆ど名人芸。うふふふ。たまらん。

 「将棋名人戦」は、志村師匠扮するハイテンションな将棋名人が、ただただハイテンションに振る舞い続けるというヤマもフリもオチも何にもない酷いコント。なんてたってツッコミすらいないのに 5 分近く続くんだから。でも、顔中にペイントを施し、誰彼構わず絡みまくり、最終的に墓穴掘って狸寝入りという、何の構成も見えないコントを、たったひとりで演じきる志村師匠の芸に惚れる。っつーかお腹痛い。

 実は「全員集合」の 2 本目は未だに買ってないのですが、この「大爆笑」は今から購入決定! すげー楽しみ!!! 我が心のナンバーワンコント「修学旅行」(公開収録の方)は収録されるかな!?