「轟轟戦隊ボウケンジャー」(終)

 ヒーロー物として観たら、ガジャドムは名前はカッコ悪いし登場は唐突だし、倒し方も完全に力押しの勢いだけだし、正直燃えどころが殆ど無かった。下の「メビウス」の項にも書いたように、こういうのは溜めて溜めてここだ! ってとこで炸裂するから燃えるんであって、延々放送時間半分以上を「ピンチ→逆転→ピンチ」の繰り返しに使われてもどこぞの死神漫画みたいに辟易するだけ。

 でも、そこを除くと凄く正しい子供番組で、キモチワルイ言い方をすれば何だかすごーくキラキラした気分になれる最終回でありました。「プレシャスには、人の夢が詰まっている」「こうして生きている人間こそ、最高のプレシャス」ってメッセージには素直に感動してしまったし、それに合わせて「この世界には、まだまだ知らないプレシャスが眠っている」と言われれば、世界の広さに何だかワクワクしてしまうし、それを体現して宇宙へ旅立っていくレッドには素直に憧れた

 「まだ知らない世界に、もしかしたら知ってる世界にも、まだまだプレシャスは隠れている」。そりゃレッドのように宇宙へはいけないかも知れないし、ボウケンジャーみたいにネガティブに襲われたら戦えないかも知れないけど、それでも抑えられない「好奇心」は、いつだって誰にだって輝く宝物なのです。人生に絶望するヒマなんて無いんだぜ! みたいな?

 まぁ、僕は既に薄汚れた人間ですから、そこまで明るくは捉えられないかも知れませんけど、このボウケンジャーの教えが、今の子供達が成長した 10 年後、20 年後も心の奥底でキラリと光っていたら素敵じゃないですか。彼らがいつか、自分にとっての「ホントのプレシャス」を手に入れたとき、ボウケンジャーの教えが頭に過ぎってくれたら、それはとても素晴らしいこと。そういう可能性が垣間見えただけでも、この最終回は凄く価値がある最終回で御座いました。

 作品全体としても、「戦隊もの」として観た場合は少々微妙なところも多かったけれど、「プレシャス」を軸としたオムニバス作品としては、とても素晴らしい作品であったと思います。イエローがダイボウケンで大暴れした「初音の鼓」の回、「知恵の実」の悲劇が印象的だった回、レッドの振り切れコメディな「風水」の回……オムニバスだからこそ、印象的な回も多かった。いつもの戦隊とは、別の意味で非常に楽しめた 1 年でありました。どうもありがとう御座いました!

 「ゲキレンジャー」は、取り敢えず例年以上に全身タイツ丸出しのスーツデザインに慣れるのに暫くかかりそう……。