「のだめカンタービレ」

 松本人志の出演シーンは案の定小ネタ系。だからもうそういうのいいって……。

 それはともかく、今回の演奏シーンは思った程でもなかった。特に S オケの仮装オーケストラは典型的な「悪くはないんだけど……」なシーンで残念。

 ただ、その理由はハッキリしていて、今回はまず間違いなく演出の問題。だって、和服の人間が大勢楽器弾いている、という「画」が一番の見所なのに、やたらアップばっかりなんだもん。その割に切り替えばかり激しくてアングルにも工夫がなくて、専門的なことはよく分からないけど、とにかく立体感が無くて、すごーく平面的な印象を受けてしまった。折角マングース(とハブ)の造形は良かったのになぁ……。

 千秋とシュトレーゼマンのコンチェルトもおおよそ同じ様な印象だったんですが、ここには更にもう一個、「シュトレーゼマンが残念」というポイントもあった。いや、今まで竹中シュトレーゼマンはよくやってたと思うし、事実そんなに違和感も持ってこなかったのだけど、やっぱり千秋がピアノを弾きながら背中を見て、「もっとこの人の音楽を感じていたかった」と感じるには、「カツラに特殊メイクの竹中直人」じゃ弱いんだよなー。

 まぁ、コミックス数巻分の話を凝縮した所為で、殆どシュトレーゼマンが「師匠」として活躍する話は大分削られているし、そもそも「日本語を話すドイツ人で威厳のある指揮者っぽい人が出来る役者」自体居ないし、どうしようもない部分はあるにはあるんですけど、やっぱり事実として竹中直人の背中には千秋がそう思うだけの説得力を感じなかった。それは凄く惜しくて残念。逆に千秋役の玉木宏はどんどんハマってきて、今回のピアノ弾く姿なんかマジ格好良かっただけに余計に。

 そんなわけで、盛り上がりどころは正直……な出来ではあったけれど、それ以外の部分はちゃんと押さえるべきところは押さえていて面白かったです。特に、千秋の演奏を聴きながら呆然とするのだめの表情は絶品。だからこそ、もっと演奏シーンは(結局戻る)。

 それにしても、エリーゼ役の人、日本人なのね……それが隠れた今回の一番のサプライズ。