「西遊記」(終)

 「きっと次は面白い」「きっとはまともになってるはず」と思い続けて 3 ヶ月。最後までどうしようもなかったので、これまでの 10 数時間が惜しくてたまらない気分です。あぁ、この 10 数時間で一体何が出来ただろう……。

 とにかく「ここがダメ」とか「あそこさえなんとかしてくれれば」なんてレベルじゃなく、何から何までダメなので感想の書きようがないのです。例えば今回の最終回にしても、始まった段階で「あぁ、全部ご都合主義で収まるんだな」と視聴者全員が分かってしまうような奇跡の作劇や、一番盛り上がるべき悟空が三蔵を説得するシーンでの回りくどい上にまどろっこしくて、その実内容はとんでもなく薄い台詞、そしてそれに説得されちゃう三蔵等々、どうしたらここまで片手間でやってられるんだと思わずにいられません。

 そこに加えて、ここは新人の実習かと見紛う遅っそいアクションに、初回から一貫してショボいセット、日本のドラマが「大迫力のCG」と自分で言ったらほぼ間違いなく大迫力じゃないというセオリーもしっかり守って、とにかく「何故この企画がイケると思ったんだろう?」ってとこまで考えてしまいます。果ては「堺正章出演!」なんて恥知らずも堂々とやって、もう技術もセンスも、果ては志さえ空っぽ。

 そんなことを言いつつ、何で最終回までしっかり観たかと言えば主人公 4 人の掛け合いが楽しかったということに他ならない訳ですが、それも回を追う毎に何故か減っていくし、正直後半は自分でも何故観てたのかよく分かりません。そこ以外見所無かったのに。

 別に「ゴールデンタイムにこんな子供騙しをするな」なんて言わないし、寧ろもっとやって欲しいと思ってる人間ではありますが、ここまで子供騙しの「勘」を押さえてないドラマを見せられると、今正に「子供騙し」を一生懸命作ってる人達に対してこのドラマは大変失礼なドラマだと、子供騙しが好きな人間としては強く思うのでした。お願いですからフジテレビは、二度とこっち方面には手を出さないで下さい。