「お笑いネクストブレーカー」

 「オールナイトニッポン」のパーソナリティを探す、BSフジとニッポン放送共同の公開オーディション番組……ということらしい。どうやら毎週日曜にニッポン放送で放送してるらしい。もしかして今までも定期的にやってたんだろか……。

 今回のオーディション組はバッドボーイズガッポリ建設きぐるみピエロ、ビーム。審査員は笑福亭鶴光ニッポン放送の部長、そして何故かハレンチ☆パンチ。進行役はニッポン放送増山さやかアナ、フジテレビの宮瀬茉祐子アナ。余談だけど、増山アナは流石ラジオ局のアナウンサーだけあって、語り口が番組に不釣り合いな程に流麗だった。テレビ局のアナウンサーも頑張れ。

 審査内容はネタとフリートークの二本立て。

 ネタの方は、バッドボーイズガッポリ建設きぐるみピエロはいつもの感じ。客席が若めの方が多いのに、ガッポリ建設がウケまくっていて、本人達が戸惑ってたのが可笑しかった。曰く「今年売れちゃうぞ!」。でも、流石に場慣れしてるのか何なのか、バッドボーイズは唯一漫才だったのもあって、技術的にはズバ抜けてました。こうして見ると、上手いもんですね(何様?)。まぁ、ガッポリ建設の方が芸歴倍ぐらいあるんだけどさ……。

 ビームは初見。吉野だけはマイナスターズで散々観てるけど、「ビーム」としてのネタは初めて観た。もう笑っちゃうぐらいさまぁ〜ずテイストで可笑しかったな。勿論面白かったんだけど、吉野のボケの感触(動作、発声、発音に至る全て)全てに大竹の匂いがした。でも、一番笑ったのはビームのネタがCMソングネタだった所為で、ネタ後に部長に

「放送では殆ど編集されるタイプの芸だと思います」

と言われてたとこ。ライブだったらともかく、テレビ・ラジオでCMネタは本当に不向きらしい。難しい事情があるんだろうね……。

 フリートーク審査は、ガッポリ建設にびっくり。絶好調でドッカンドッカン受けてた。実際大変面白かった。まぁ、内容は「芸歴 14 年でこのザマ」というような愚痴というか嘆きというか、そんなのなんだけど、「 14 年と言ったら猫だったら死んでる」とか、M-1でテキトーに喋ったら勝っちゃって調子乗ったら舞台に魔物が棲んでて全くウケなかったとか、意外なほどポンポン色んなフレーズが出てきて絶好調。面白かったーこんな力を隠し持ってたのか! 本人達曰く、「楽屋では大人気」だそうだ。

 そのガッポリ建設と、今や「場」が沢山あるバッドボーイズの前だと、きぐるみピエロとビームはちょっと気の毒だったな。特にきぐるみピエロは、全くトークを組み立てられずにネタに終始してしまって(モノマネや自己紹介など)、部長にも「フリートークではなかった」と言われてしまっていたし。こういう若手が、もっとトークを鍛えられるぐらい沢山喋れる場があれば良いんだけれど。

 結局、優勝は順当にバッドボーイズだった。まぁ、ガッポリ建設は面白かったけれど、鶴光師匠の言葉を借りるところの「オールナイトニッポンではない」、部長の言葉を借りるところの「ヤングタイムでは無理」だしね……。これ、本当にオールナイトニッポンやるのかな?

 あと、全体として印象的だったのは、鶴光師匠が終始真面目だったこと。若手達に、例えばバッドボーイズには「もっと方言なら方言で通した方が良い」とアドバイスしたり、ビームのフリートークに「どっちかが受け手になった方が聞きやすい」とアドバイスしたりと、的確なアドバイスをしまくっていた。

 まぁ、鶴光師匠は本当に「師匠」なんだから、こういうのが本来の姿なんだけれど、いつもの調子を考えると、何だか意外な姿だった。定期的に地上波で放送してくんないかな、これ。