「心はロンリー 気持ちは「・・・」I~IIIBOX」

 少しずつじわじわ観て、ようやく全部観た。

 いやぁ、面白かった。当時を知らないと笑えないんだろうなぁ、と言うネタもいっぱいありましたけど、それでも十分下らなくて面白かったです。

 「心はロンリー」シリーズの何が凄いって、ドラマそのものはコメディでも何でもないってところだと思います。寧ろ、ベタ過ぎて逆に恥ずかしくなってくるようなドラマなわけです。なのに何故このドラマが「お笑い」に分類されるかと言えば、真面目なドラマの背景でバカやったり、どうでもいい合間の場面でバカやったりするから。

 つまりは意味のないところに意味のないものを挿入してるわけで、正に無意味の累乗状態。その無意味の累乗と本当に“普通のドラマ”が、同じフレームに同居することのカオス。それが「心はロンリー」なんだと思いました。

 特典映像のさんま師匠と三宅恵介さんの対談で、三宅さんが「心はロンリー」を始めた理由をこう語っています。

「当時、『喜怒哀楽』を誇張して表現したモノがコメディ、という風潮があって、それに反抗してこれを作った(大意)」

当時のコメディがどういうものだったか、僕は知りませんがその結果として生まれた「心はロンリー」は、その理にはとても適っているわけで、その辺にこの二人の意気に感服した次第です。そして、同時にそれ故にもう今の時代には合わないんだろうな…ということも。形が多岐に渡ってしまった今では、そういう方法論はもう意味を成さないし、「心はロンリー」そのものも、時代に活かされた存在なんだなぁ、と強く思ったのでした。そういう意味でも、もう「XII」は、無いだろうなぁ……。残念。

 それでも「心はロンリー」じゃなくても良いから、こういう作り手の意気を受け継いで、「今」という時代にマッチした新しい「心はロンリー」的なものを作ってくれる人が現れないものかなぁ、と淡い期待を抱いてしまいます。

 ともかく、このDVD-BOXは僕にとってはもの凄く面白かったのですが、不満を挙げるとすれば、やっぱり権利関係のアレで色々なネタがカットされてしまったことでしょうか。しかも、特典映像の対談で、さんま師匠も三宅さんも現物を観ていないために、カットされたネタも平気で喋ってるので、そのネタが観られないことにもの凄くフラストレーションが溜まります。特に「ウルトラの母」ネタは観たかった……円谷プロ関連で色々難しいのは、容易に想像が付くわけですけど……ホント、この辺の権利関係ってもっとスムーズに行かないものなのかなぁ。つまんねぇの。