ゆらゆら帝国「な・ま・し・び・れ・な・ま・め・ま・い」

ドッカーン!


 いやー、プレイボタン押したときは「とうとうこの使い古したコンポも寿命か!?」と思いました。そのぐらいの異様な音で始まるこのゆらゆら帝国のライヴアルバムです。

 ゆらゆら帝国に関して名前以外の予備知識は全くない状態で聴いたので、果たしてこのアルバムが、ゆらゆら帝国的にどういう位置付けにあるのかよく知りませんが、取り敢えず内容はもの凄かったです。正直、あんまり良い録音ではありません。若干割れている音もありますし、なにより楽器のヴォリュームがそれぞれかなり違いますし。

 ただ、それが幸か不幸か、凄まじい「ライヴ感」となって伝わってくるのがもの凄いです。録音が悪いのか、元々そう言う観客なのか分かりませんが、観客の声がそれほど入ってないのにも関わらず。音から連想されてしまう、暗いステージ、飛び回るバンド、飛び散る汗。吃驚。

 前半は、そういう音で、爆音の隙間から辛うじてメロディが見えるような見えないような、そういう感じの演奏が続いています。イメージ的には、アンプの前でギタリストがゴロゴロ転がり回りながらじゃかじゃか弾いてる感じ。

 ところが、あるポイントで突然コンポがぶっ壊れたかと思うほどのノイズが駆け回ったかと思えば、そこからはいきなり、美しくて儚いメロディとサウンドに早変わり。音から連想されるのは、暗いステージ、不動のバンド、不動の観客、流れ落ちる汗。イメージ的には、ギタリストが終始俯き加減でアルペジオに専念してる感じ。

 僕は、ゆらゆら帝国が一体どういうバンドなのかよく知りません。知りませんが、そんな人間にさえ、バンドの二面性をこれでもか!と伝えてしまう、凄いアルバムでした。