「仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX」

 傑作ですよ!!

 「アクションはカッコ良く」! 「友情は熱く」!! そして「ヒロインはかわいく」!!! 娯楽映画の基本を押さえ過ぎなぐらい押さえ、心地いい過剰さの演出フルスロットルのヒーロー映画の金字塔。真野さん、ファンです(告白)。いや、真野さんが、そのぶっ飛んだ設定を背負いながらも映画全てを支えるヒロイン足り得てるのは、真面目のそのかわいさ故だと思いますよ、マジで。予告編で使われてる屋上で振り返るカットに、ちょっと転びそうになったもん(何に?)

 個人的には、「運命のガイアメモリ」の方が「僕の好きなヒーロー映画」ではあった。あちらは上記の三点に加えて「ドラマを描く」ということも達成していたし、クライマックスの持つカタルシスは「『ヒーロー』とは何か?」という根源的な問いにまで達していたから、やはり僕にとっては大事な映画になってしまっているから。

 今回の「MOVIE大戦」にあるのは、ドラマではなく記号の羅列です。葛藤は言葉の上でしか表現されないし、解決はとてもあっさりしている。登場人物だって「わるもの」と「ともだち」と「すきなおんなのこ」しか出てこない。映画としての作りはすごく歪だと思う。

 しかし、その記号をとてつもない豪速球としてど真ん中に投げて来るのですよ! そのパワー!! そのパワーこそ、これまでの日本のヒーロー映画に欠けていたものなんだよ!!!! オーズが相棒に送る言葉に、地に膝ついたフォーゼのためにその身を張る「ともだち」の姿に、俺は泣いたよ!!

 重要なのは「愛」なのです。「オーズ」というテレビシリーズに対する愛、「フォーゼ」の「青春」というキーワードに対する愛、そして過去作への愛。「ダブル」は勿論、7 人ライダーまであそこまでこだわってくれるとは! まさか「SPIRITS」以外で「Xキック」がリボーンした姿を観られるとは思わなかったよ。「ディケイド」作った会社とは思えません!

 その「愛」を、押し付けること無く娯楽へ昇華させている。怒濤のお祭りアクションの締めにやってくる、弦太郎と撫子のラストカットの切なさに、「名作」ではないかも知れないけど、確実に傑作であるという確信があるのです。

 全てのヒーローを愛する人は、お正月休みは有無を言わさず劇場へダッシュ!!