「How to モンキーベイビー!」(終)

 「やぐちひとり」から 7 年続いた番組(企画)が、遂に終了。

 「アイドル野球部」とかやり出した辺りからはあんまり真面目に観なくなってはいたけれど、7 年間ほぼずっと見続けた身としては、割と感慨深いです。7 年の間に矢口さんはグループを脱退してワイプ芸人としてソロ活動、劇団ひとりは結婚して一児の父になってはいますが、番組内での関係性はずーっと変わらずにいたのが、惜しくもあり、嬉しくもあり。どうせ終わるなら、一回ぐらい付き合っちゃえば良かったんだよ!

 テレビに於ける「男女カップリング」が大好物である僕にとって、男性 MC と女性 MC が一人ずつ、しかも多数のキャラとガヤが居ない分「sakusaku」以上にカップリング純度が高いこの番組は貴重でした。多分、番組側もそのことには自覚的で、どんな企画をやったとしても、常に大事なところは二人の「関係性」に重きを置いていてくれました(まぁ、「アイドル野球部」でズレちゃったけど)。

 ある企画をしたときに、矢口さんがどういう反応をするか? その反応に対して劇団ひとりがどういう反応をするか? その次に、矢口さんが劇団の反応をどう想定しているか? その想定を劇団ひとりがどう乗り越えようとしてくるか? そう言ったせめぎ合いに、「互いの相性の良さ」「画面の収まりの良さ」が加味されて生み出される言いようの無い多幸感。それこそが僕が思うテレビに於ける「男女カップリング」の醍醐味です。少なくとも「やぐちひとり」は、それに溢れた番組でした。

 多分、もう二度と矢口さんにこういった、過剰なリアクションを求められない場は与えられないだろうし、劇団ひとりも多分、こういうただ普通のトーン(←重要)で「KARAが如何に好きか」を語れるような番組には携われないでしょう。二人にとって、それぐらい得難い番組だったと思います。

 矢口さんがテレビで流す涙は 9 割方ウソ泣きだと思っている僕ですが、いざ番組が終盤に差し掛かったときに、

寂しいよー!

と号泣しながら流した涙、そしてそんな矢口さんを優しい顔でなだめる劇団ひとり、という画には真実の感情があったと、一ファンとして思いたいですね。

 企画重視の大型番組が花盛りで、すっかりこう言った関係性だけで作っていくユルいバラエティは、少なくとも地上波では僕の知る限りでは「モヤモヤさまぁ〜ず2」を残すのみになってしまいました。僕は寂しいです。人間の基本、ドラマの基本は関係性です。それはバラエティでも同じではないでしょうか? トーク出来るのは芸人だけではないし、「トークの面白くない人」が「面白い人」によって「面白くなる人」になる可能性はどこにだって隠れているはずです。他愛の無いじゃれ合いが、エンターテイメントになることだってあるでしょう。

 余るほど居る芸能人の中で、組み合わせは無限の筈です。その中で、如何に有り触れた企画であっても光る化学反応を起こせるような組み合わせを見つけるか。そこから全ての企画は始まる筈です。そういう意思のある番組を、僕は変わらず求めています。

 というわけで、松尾アナと相性の良い誰かとのロケなりトークなり、誰か(以下自粛)。