「仮面ライダーキバ」(終)

 「剣」以来、久々に最終回が待ち遠しいライダーでした。勿論、悪い意味で。

 「主人公が怪人とのハーフ」、「親と子の二つの時間軸」、「イクサの系譜」などなど、面白くなりそうな要素は確かにありました。けれども、結局のところそれらが活かされたのはスマートブレイン社長がゲスト出演した一回きりで、あとはずーっと行き当たりばったりの連続。大体、「親から子へ受け継がれ行く魂」という、ある種作品の肝になるべきエピソードを「タイムスリップ」などという安易極まりない方法で演出する神経自体、僕には信じられない。

 キバットという、折角キャッチーなキャラクターを活かさず完全に道具としてしか使わないかと思えば、「電王」そのまんまの方法でフォームチェンジしたり、新しいアイテムが登場する度に何の工夫もなく投げ入れるだけだったり、通りがかりで偶然敵に会ったり、作品のどこにも矜持も何にも感じられない。ドラマパートは「昼ドラですか?」と思うほど安いし、特撮パートは「変身してればいいでしょ?」と言わんばかりのやる気のなさ。

 そもそも、第一回目から碌に設定を説明せず、細かいことはすべて雰囲気と視聴者の好意に任せている時点で終わってる。主人公の成長物語としても、結局渡はその場その場で都合の良い言葉に従ってるだけで、それは「成長」とは呼ばないと思いますがね。

 最終回観てから、一生懸命良いところを探してみたけれど、やっぱりスマートブレイン社長ゲストの回しか思い当たりませんでした。あそこには、僕が「キバ」に期待できることの全てが入っていたように思います。音也が渡に「魂」を受け継がせるなら、直接会って自身の言葉でなんて陳腐なことはしちゃいけないんだよ。音也と渡の間に流れる 22 年という歳月が上手く活かされなければ、そもそもそんな設定要らないんだよ。

 結局、頭から最後まで、殆ど楽しむことなく終わってしまった平成ライダーでした。あぁ、こんな気持ちで 10 周年迎えたくなかったよ。

 で、そんな 10 周年記念ライダー「ディケイド」。取り敢えず、デザインは「電王」以上の悪夢だし、オダギリジョー以外の人間が変身するクウガや、客演ライダーの扱い等々、今のところ不安な要素しかないんだけども、どうなるんでしょう。「どうなるんでしょう」と書いているときの期待値は、推して知るべし!