「ROCK FUJIYAMA」(終)

 終わってしまった……。最後のレギュラー陣と TRICERATOPS による「Rock'n Roll」はカッコ良かったなぁ。

 「ヘビメタさん」が終わったときも悲しかったけれど、この「ROCK FUJIYAMA」の終了はその倍ぐらい悲しい。「ヘビメタさん」の頃は、「エアギター選手権」とかやったり、まだ多少イロモノ臭を残していたけれど、「FUJIYAMA」になってからは名実共に「ロック野郎達がロックを肴にロックで盛り上がる」番組になって、非常に「正しい」音楽番組として非常に楽しい番組であったのに。

 去年 1 年で買った CD は僅か 10 枚と、すっかり音楽から遠ざかってしまった僕でさえ、この番組を観た後、つまり毎週水曜は何となく気分がロックな気分になり、家にある僅かなロックの CD を引っぱり出して「うふふふふ……」とほくそ笑んだり、エレキギター引っ張り出してちょっとあの曲やこの曲のリフを練習したりしてしまうぐらい、当たってしまう濃度の高さ。何枚か CD も買ってしまった(コレクターズの回に、コレクターズと The Who のベスト版買ってしまった)。あと、単純に「バラエティ的立ち振る舞いをする鮎貝建とマーティ・フリードマン」という非常に珍しいモノが観られたのも良かった。

 更に、高橋ジョージフットボールアワーから、コレクターズに KEN YOKOYAMA まで、呆れるほどの人選の振り幅、そんでもって全員扱いがほぼ一緒という素敵なゲスト対応。どれを取っても、類を見ない素晴らしい番組であったのに、どうして終わっちゃうんだろう……まだまだ出て欲しい人居たのに! カーネーションとか! B'z とか!(無理。でも松本孝弘とマーティは仲良いらしいよ)

 僕はもう、まだまだ音楽的素養が固まってない頃にネットに触れてしまった所為で、変に音楽に対して頭でっかちになってしまって、「ジャーニーなんて商業ロックじゃん(笑)」とか「ラモーンズって(笑)」とか「メンバーチェンジしたヴァン・ヘイレンは聴く価値無し」とか「JUMP」も好きな癖に言ってみたりとか「イングヴェイ聴いてる奴は馬鹿ばっか」とか「グルーヴ感が出せないヴォーカリストはクソだよね」とか「グルーヴ感」がどういうものかも分からん癖に言ってみたり、「邦楽なんて聴かない」と B'z 好きな癖に頑張ってみたり、そんなんばっかり気にしてて、最終的には何が良くて何が悪いのかよう分からなくなって壊れてしまったので、満面の笑みでロックを語り合える「場」が、毎週羨ましくってたまらなかったですな。

 人に「センスのある人」と思われるために音楽聴くより、好きなリフを聴いて「気持ちいい!」と思えることの方がどんなに大事か。したり顔で「この音楽がどういう部分でロック的で、どういう部分で優れてるか」を語る奴と、一生懸命ギター弾きながら「ラモーンズはここがカッコイイんだヨ!!」と訴えるマーティと、どっちがカッコイイか。ゲスト達がみーんな、あらゆるバンドのメンバーの名前や曲名をソラで言えるのはどういうことか。やっぱさー、音楽って本来そういうものだよね、的なことを、アホみたいなどんちゃん騒ぎの中で、そっと教えてくれる、大袈裟に言えばそんな番組でした。

 もし、中学生ぐらいの頃にこの番組があったら、自分の音楽人生もっと濃かったんじゃないか、と割と真剣に思う。MTV だとかヒットチャートだとか小林克也だとかも別に良いけど、やっぱこの番組の持ってる間口ってのは別次元のものなんですよ。僕みたいな人間にはすごーーーくガッチリ来そうな間口。特に接点の無い悪そうな先輩から、「お前、これ聴いてみる?」ってサイコーにカッコイイアルバムを急に貸して貰うような感じ?(分かり難い) あぁ、もうちょっと遅く生まれれば良かったな。

 こういう番組を、嘗ての自分みたいに潜在的に必要としてる子っていっぱい居ると思うんだよなー。こういう番組は、絶対一週間にひとつぐらいあるべきなんだけどなー。なんか GyaO だけで再開、とかそんな話もあるとかないとか聴くけど、それじゃあ意味無いんだよ。勿体ない番組がまたひとつ終わってしまったのであった。

 ……とか言って、半年後に何食わぬ顔でまた始まったら笑うなー。大歓迎だけど。そのときは熊田曜子も一回呼んでやれ。