(新)「嫌われ松子の一生」

 映画は未見。原作も未読。だけれども、何だかそちらの評判がよさげなので、「 DTDX 」「コトー」とのトリプル被りを覚悟で頑張って視聴。で、その感想としては、一言で言うと「分からん」。

 「分からん」というのは、「松子を知らない」筈の明日香が急に「(松子は)川を見ながら泣いてた……」とまるで観ていたかのように言い出したりとか、最後のナレーションの「これが始まりでした。しかし、これは不幸な人生の始まりに過ぎなかったのです」という何で二回同じ事言うんだよ!? な感じとか、そういう些末なことではなくて、もっと根本的に「これは一体何を楽しめばいいんだろう?」という意味で「分からん」。

 松子が最後には死んじゃうのはハッキリしている訳で、2 時間程度で終わる映画だったら、「死後、姪に本当の姿を知って貰えて浮かばれました」みたいな落としどころもスッキリ行くだろうけど、これ連ドラですよ。これから 10 時間近く、松子の最後にはゴミ溜めの中で死んじゃう転落人生を、最後に姪に認められるときを待ちながら観ていく作業になるわけで、そこを楽しもうよ、というのは正直キツイ。

 しかも、その「転落人生」の方に見応えがあればまだ良いんだけれど、ところどころにある「笑わせたいらしい演出」は中途半端の極み(もしかして「シュールな演出」を狙ってるのか?)で「不幸」を和らげもしなければ盛り上げもしない。じゃあ逆にシリアスに、重く、切なく描くのかと言えば何故か画面の雰囲気は無意味に明るい

 そもそも、その「不幸」の演出にしても、今回のを観ている限りは「こう来られたら普通こう行くよね」というセオリーをただ繰り返しているようにしか見えず、その結果産まれている「不幸」は非常にあっさりとしていて、いくら松子が全身で精一杯の不幸を発しながら泣きじゃくろうと「ふーん……」としか思えなかった。大体、松子の引き起こす「不幸」の 8 割が自業自得なのはなぁ……。

 結局、1 時間の間何の引っかかりも感じず、観終わった後に感じたのは微妙な徒労感ばかりで御座いました。初回に限って言えば、「これから描くこと」の意思表示のようなものが著しく欠けていて、僕のような予備知識ゼロの人間には正直意味がよく掴めないドラマでした。

 まぁ、そう思いつつ次回予告はなんか面白そうだったので、一応継続視聴。3 話ぐらいまで観てみて、ずっとこの路線だったら少し考えることにします。