「マイ★ボス マイ★ヒーロー」

 卒業試験を受けてボスになろう! みたいな話。思わぬところで田所さん(「仮面ライダーカブト」)が出てきてびっくりした。よく見たら田所弟も出てたし。

 本郷猛こと弟の「ボスに立候補する理由」には説得力があったし、その理由にしっかり理解を示す榊、というのも良いシーンでした。多分、弟はホントは「ボスになる」ことそのものより、榊が高校生になったことで、今までは弟だけが持っていた「学生生活」とそれに付随する様々なものを次々手に入れていく兄貴が妬ましかったのが大きいんだろうね。「ずるいよ、兄さん」という台詞は、そういう意味で結構重かった。

 だからといって兄貴を憎んでいるわけじゃなくて、兄貴に「カタギになれば、学校の友人達といつまでも友人でいられる」と諭したのも、半分以上は本気で兄貴のことを思っての言葉なんでしょう、きっと。

 その言葉を受けて、改めて自分との対話を通して「ボスになる」と決意する流れは結構美しかったです。「もう一人の自分との対話」シーンは使い古された手法ではありましたけど、単純な「天使と悪魔」的な対話ではなくて、「ヤクザ」側の榊も「学生」側の榊も、しっかり友人達のことや学生生活をしっかり大事に考えながらの対話で、今までの話が走馬燈のように甦ってグッと来ましたよ。

 それだけに、ボス選挙の演説シーンは惜しかったなぁー……。だって、榊の演説に説得力が無いんだもの。いや、ああいうやり方しか無かったのは理解するんですが、それでも肝心のボス就任後のビジョンが「絶対後悔させねぇから」だけってのは……。折角 8 話も積み重ねて来たんだから、それらのエピソードを上手く組み込んで、もう少しグッと来るフレーズを並べて欲しかったところ。なんか、わざわざ 8 話も費やした割にすごーく抽象的なのが……。

 榊以外で行くと、再び桜なんとかと梅村さんが良い感じになったのは良しとしても、結局あのお友達(いい加減名前を覚えろ)には大したエピソードが回って来ない感じで、そこはちょっと残念というか、ちょっと哀れ。だって、梅村さんと榊の仲に気ぃ使ったり、桜なんとかの梅村さんへの好意を見抜いたり、単なる便利キャラで終わっちゃって……。一回、いや 10 分ぐらいでもグッと来るエピソードあれば良かったのにね……。

 来週は最終回。「学校にヤクザが!」って展開で 7 割方オチが読める感じですが、上手く裏切ってくれることを期待致します。

 それにしても、「俺も告白するから」「え? 榊くんに?」というやりとりは、一瞬冗談だと思えないから怖いな、桜なんとか。