「マイ★ボス マイ★ヒーロー」

 先週の予告の段階で「しょーもない理由で失恋して『恋ってほろ苦いですね』」みたいな、「如何にもコメディ」なオチをなんとなく想像してしてたのですけど、まさかまるごと 1 時間「恋」の理解に掛けて、その上次回に引っ張るとは……。完全に予想外。

 それもさー、最初の「胸の中の小人が胸を叩いてる」「小人コノヤロウ、表出ろ!!」とかのやりとりはゲラゲラ笑いながら観てられたのに、最後の方になると真剣に切ないだもんなー。梅村と歩きながらいちいちドギマギしたり、絶叫して「これが初恋なのかコノヤロウ!!」とダッシュしてる榊の姿は、普通に観たら完全にコメディの画なのに、何かグッと来ちゃう感じ。

 「恋」の理解にツルゲーネフ絡ませる辺りも、最初は「なんか唐突だなぁ……」と思ったのに、「ツルゲーネフ」って名前の牛が出てきて(それもまぁ唐突なんですけども)、その牛が最終的に榊に答えを与える流れなんか、牛なのに一瞬「おぉ……」と騙されかけました。観ましたか、あのラストシーン。

 月が隠れ、辺りが暗くなったとき、林の向こうに見える影。月明かりが再び差したとき、そこに見えたのはツルゲーネフ(牛)。謎の胸騒ぎに悩む榊を見据えるツルゲーネフ(牛)。そんなツルゲーネフを見据え返す榊。更に見つめるツルゲーネフ(牛)。そして気付く榊、叫ぶ榊、それを見守るツルゲーネフ(牛)。

 カッコイイ………(牛なのに)。

 勿論、榊が「学ぶ喜び」に目覚めていく過程もしっかり描きつつ、梅村への態度も笑えるのに切なく描いた脚本も素晴らしかったですけど、とにかく長瀬智也新垣結衣が今回は素晴らしかったです。

 新垣は、多少贔屓目は込みとしても、先週のをフリにしてじゃんじゃんハートを鷲掴みな表情や仕草の連発。そりゃ榊じゃなくたって胸の中に木こりが出てきちゃうよ、てなもんです。つまりは榊が胸の木こりに苦しむ様子に説得力が生まれてました。

 長瀬はもう絶妙。最初の胸の小人にコメディチックに苦しむ様と、最後の胸の木こりに絶叫するほど苦しむ様のコントラストなんか最高でした。それだけならまだしも、その苦しむ様が「それは『恋』だよ!」ってすっげーーーー教えてあげたくなる感じがもの凄く出てるからまた素晴らしい。

 ギャグ的にも、「補習」の一連の画とか、「榊の左手の法則」を盗み聞いて優等生メガネまで実践してる画とか、今回もツボ連発でゲラゲラ笑ってましたけど、とにかく今回、このドラマでここまで切ない気分にさせられるとは全く思っておらず、そっちの驚きがとてつもなく大きかった回で御座いました。

 帰国した弟も少しずつ腹黒の部分を見せ始めてたし、予告では親父が学校に突撃していたし、この二人のオチも気になるし、そこに桜なんとかはどう絡むのかも気になるし、とにかく次回が今すげー楽しみです。面白い! 面白いぞ!!