「交響詩篇エウレカセブン」(終)

 ニルヴァーシュのピンチに駆けつける月光号(アクロバット飛行!)、相対するノヴァク兄弟(戦艦に突撃する303は異常なカッコ良さ)、司令クラスター化したエウレカを助けに向かうレントン(アーイキャーンフラーイ!)、レントンに呼応してガンバスターみたいになっちゃったニルヴァーシュ、とその度毎の素敵すぎるBGMのチョイスと合わせて、カッコイイし燃えるし切ないしととてつもなく面白く、普段ならどう考えてもマヌケなあの月でもなんだか許容できてしまうような素晴らしさでありました。

 ありましたけども、正直最後の方は何が起こってるんだか分かんないという状態で、感動するべきラストシーンも疑問符ばかり残ってしまいました。

 ひとつひとつ確認していくと、まずデューイは星そのものの命となったと言うけれど、まず何でそういうことになるのかが分からない。あれは、ジャック・バウアーがなっていた状態と一緒なんでしょうか。ってことはジャック・バウアーも星と命を共にしてたってこと? じゃあデューイのサクヤ的存在は?

 次にエウレカの首輪に自壊プログラムを仕込んでいたらしいけど、自壊プログラムあるんならわざわざ「オラトリオNo.8」なんて大掛かりな兵器なんか用いずに、さっさと自壊プログラムだけ注入すれば良かったんでは……? そうすりゃあっと言う間に終わったのでは……。

 そんでもって、レントンエウレカは一緒に新たなる司令クラスターになった(?)のだろうけど、じゃあニルヴァーシュはどこ行ったの? 「別の宇宙」? 「悟りを開いた」って何? ニルヴァーシュがどこかに連れていった「半数」って何に対しての半数? そもそもニルヴァーシュって何? ジ・エンドって何? 「別の宇宙」ってパラレルワールドってこと? 何でそんなとこ旅立ったの?

 他にも諸々分からないことが多くて、最終回には素直に感動しつつ、何か釈然としないものを抱えてしまった賢くない視聴者です。まぁ、それらをいちいちちゃあんと口で説明されても萎えますけど、それにしたってもう少し親切にしてくれたってさぁ……と思うのは馬鹿の僻みでしょうか。

 この手の「謎で一年間引っ張る」タイプのアニメを観るのは実に久々だったので、どうにも見方が掴めないまま一年終わってしまったようです。基本的には面白いアニメでしたけれど、こう、ガツーンとした強烈なこのアニメの固有イメージ、というものが最後まで出来上がらなかったのが残念です。

 他にも、時に熱くなったかと思えば、長ーく陰陰鬱鬱とするだけのクジクジグダグダした展開が続いたりという構成の難、「戦争」という言葉が空虚に響くぐらいの世界情勢の描写不足、キャラクターの描写不足による「便利キャラ」の量産など、「謎」の引っ張り方にしても「単に思わせぶりなだけじゃねぇか」と思わせている面も多く、残念な部分は多くありました。ビジュアル面では、カッコイイメカアクションや、ひと目で分かるレントンの成長っぷりなどなど、文句の付けようが無いだけに、そういう部分が非常に惜しいアニメでありました。

 今後の展開としては、個人的に是非スパロボ」に出演して欲しいですな。だって、「エウレカ」はスパロボ映えするイベント盛り沢山だし。「閃光のハサウェイ」と一緒に出演して、「今、世界にはマフティー・ナビーユ・エリンと、ゲッコーステイトというテロ組織が暴れている……」みたいな設定で。お願いします、バンプレストさん!