「神はサイコロを振らない」(終)

 結局、明確に「結果」は示されず、「この 10 日間は私たちにとても大切なものをくれました」的なオチ。変に「奇跡が起きた!」的なオチでも、変に絶望的なオチでもなく、このドラマらしく地味ながらもしんみり落としてくれて良かったです。消える瞬間も、CGで段々消えていって、涙涙の……とかではなく、非常にあっさりしたものだったのも好印象。それだけに、あの手紙は余計だった気もします。別に言わなくたって既に彼女らの気持ちは分かってるわけだし。

 でも、個人的には最終回の主役は武田真司。特にともさかりえに告白するシーンは、僕は心底「カッコイイ!」と思いました。言ってることはかーなりムズ痒いんですけども、あの武田の凛々しすぎる表情が最高でありました。それを受けて、じわじわ表情変えながらじわじわ泣くともさかりえにも脱帽。小林聡美さんと山本太郎のあっさりした別れのシーンも良かったけど、このシーンはとにかくこの最終回で一際輝いておりました。

 で、その後も武田は自宅のシーンで小林さんとともさかの会話の後ろで寂しげに背中で語るし、エピローグではカラカラとしたキャラを再び発揮するわで、エンディング観ながら「もしかしてコイツが真の主役だったんじゃあるまいか」と錯覚する程の活躍。う〜ん、カッコイイぞ武田。

 ただ、やっぱり小林さんの周り以外のキャラクターは駆け足というかお飾り的になってしまった感は否めず。個々のドラマの濃度に差がありすぎて、ともさかが消えた瞬間と他の連中が消えた瞬間とでは、どうしても温度差が生まれてしまったのが残念でなりません。単純に、数が多いので「何回もしつこい」という気分にさえなったり。

 ドラマ自体は、しんみり出来たしフッと笑える部分もちゃんとあって、決してつまらないドラマじゃなかったけれど、その登場人物の多さが災いして中盤は単純作業のようになってしまったのが痛かったです。もう少し設定を縮小して、小林さんを中心とした話で 5 話ぐらいで構成した方が、もしかしたら丁度良かったかも。惜しいドラマでした。

 最後に。どうでもいいと思いつつ、すごーく気になるのですが、みんな消えた瞬間って服だけ残るんじゃないの? 普通に「現在」で買った服も一緒に消えててびっくりしたのですけど。振り返ったら、そこには服だけが残されて……みたいなもんだとばかり思ってたんですけど。そうすれば、いつぞやの「服は着てるんですか?」みたいなやりとりも活きたのに。別に活きなくてもいいけど。