「中居正広のテレビ50年名番組だョ!全員集合」

 大体予想はついてましたが、もうホントにノスタルジーまみれで、観ていて途中からなんか無意味に哀しくなりました。「懐かしいよねー」とか「こんなのあったよねー」とかそんなのばっか。しかも、その大半が自分が生まれる前のもの故に全く乗れず、改めてこの間の「石田さんのおかげでした」は頭おかしかったな、と再確認致しました。

 唯一、冒頭一時間のさんま師匠と中居くんのトークがテンション高かったぐらい。歴代名番組の映像に対して「そんなの要らん」とか平気で今の話をし始めるさんま師匠は、観終わった今から思うと痛快ですらありました(後半、中居くんがしっかりそれを受け継いでるのも笑った)。そう言いつつ、過去の映像にはしっかり互いに恥ずかしがってるし。これが 4 時間続いてくれれば、僕としてはもっと面白く観られたのになぁ。流石にそれは辛いか?

 ドリフのパートは、初っ端から期待はしてなかったけど、実際放送されたものは何だか辛くてチャンネル変えながらなんとか見続けた感じ。まず、TBSはこの 2 年ぐらいでドリフの資料使い回しすぎなので、今やもう何の感慨も湧きません。

 そして、これは感覚的なことではありますが、雰囲気が「ぴったんこカンカン」とかあの辺のバラエティと全く同じ雰囲気になってて、それがより「懐かしいでしょ? 懐かしいでしょ?」という押しつけに拍車をかけて観られたもんじゃなかったです。良い言い方が思い付きませんけど、「まともなバラエティをやる空気」では全く無かった。

 で、そこに来て「昔のコントを生で再現」でしょ。そんなもん観たかないっての。過去のVTRをそのまま流せばそれで済む話だし。僕が観たいのは「今のドリフ」であって、極端な話、面白くなくてもいいから「おじいちゃんがやるコント」という形を今の内に示しておいて欲しいのですよ。その方が、このままノスタルジーに食い潰されていくよりずっとマシだし、僕もファンとしてそっちの方がしっかり見据えられる。

 バラエティパートが終わると、ドラマやジャニーズの歌(何で?)のパートに入るのですが、こっちはもっとそれが加速。とにかく淡々とVTRが流れるだけで、響き合う「懐かしい」とか「これ観てた」、出演者ゲストからは「恥ずかしい」だのなんだのという声。これ観て、一体どんな感想を持てというのですか。そんな中、本当にほんのちょっとしか流れないドラマの映像にしっかり泣くベッキーはちょっと怖かったけど(で、それに引いてる中居くんに笑う)。

 この間やっていた「ザ・ベストテン」の振り返り番組(「金スマ」)は、僕はリアルタイムで観てないのと番宣CMでの久米宏の「こんなことテレビで言っていいのかなぁ?」というしたり顔にイッラァァッとしたのでスルーしたのですが、どうやら評判はとても良い様子。やはり、ひとつの番組に集中するのと、「 50 年」と銘打ってまとめるのとは、やり方が全く違うということでしょうか。

 取り敢えず、何にも生み出さない番組でありました。ただただ繰り返される「懐かしい」。この番組のスタッフは、「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」を観て反省しなさい(え?)。

 まぁ、でもやっぱり「リアルタイムじゃない」ってのが一番でかいんだろうなぁ……。きっとリアルタイムで観てたら、「懐かしい」の仲間に入れるわけだから、そりゃ違うだろうし。この間の「石田さんのおかげでした」のように。う〜ん…… 50 年に一回のお祭りとでも思っておけばいいのかな。

 だからこそ、いつまでも「あの頃は良かった」なんて言わせてちゃいけない筈なんだけどなぁ。みんなそれを言いたがるし、やってる側もそれを言わせたがるし。なんか不毛なような気がするよ。あ〜あ、何書いてんだか分かんなくなった。