「たけしの誰でもピカソ」

 「新装開店!お笑い居酒屋」ということで、リニューアルした「お笑い居酒屋」。出演は、千原兄弟、レギュラー、レイザーラモンHG、ロバート、長州小力赤P-MAN猫ひろし

 何がリニューアルしたかと言えば、まずトーク部分は芸人達が一同に会して(小力以下三名除く)フリートークに。各組のネタは、途中途中、VTRで挟まれる形になり、たけしの論評が無くなりました。一応、小力以下三名だけは「笑いの金メダル」の「ワンミニッツショー」的な短さでネタをやったVTRをたけしが観て短い感想はあり。

 何だか、「お笑い居酒屋」という企画の醍醐味の 7 割が失われたようなリニューアル。まぁ、流石にこう何度もやってると面子も変わり映えしなくなってきてるし、しょうがない部分もあるのかなぁ……と思いつつ、残念ではあります。

 そんな中、個人的に気になった部分。

    • 「悲しみのトウバンジャン」というエピソード(若手の頃、無茶して眼球に塗りたくったらしい)を話すとき、普通に「僕、『レイザーラモン』ってコンビなんですけど……」と喋ってました。てっきり、東京ではそこはもう「触れてはいけないこと」にしてるのかと勝手に思ってましたけど。だったら早く相方の出渕もこっち呼んであげなさいよ……。
    • レイザーラモンのキャラにたけし、「テレビでやらずに、店でやったら 10 年食える
    • で、そのレイザーラモン住谷のネタはひとりコント。途中、あまりにグロテスクだったのか、観客から普通に「うわぁ……」とか「いやぁ……」とか呻きが上がってたのが笑いました。
    • ジュニアとたけしは事故で体にチタンを埋め込んだ「チタン兄弟
    • ジュニアの事故話は聞き飽きて面白くない靖史
    • レイザーラモンは、キャラの固定まで 3 年かかった。今田が会った頃のレイザーラモンはキャラが固まっておらず、「そうなのよー」とゲイとオカマを勘違いしてたらしい。
    • レギュラーの「あるある探検隊」は、今よりもっと若手の頃「オールザッツ漫才」で芸人連中にウケるために、「お笑いとして卑怯なこと」(顔芸、動き、声、リズムetc...)を全部ごちゃ混ぜにしようということで始まったらしい。お陰でオール巨人に「それは漫才じゃないんじゃないか」と封印させられたそう。
    • たけし曰く、「バッと売れる芸人や、売れるまで長くかかる芸人色々居るのに、こうブームだと他が売れて焦っちゃって脱落したり、早く売れすぎたりして勿体ない」
    • ドル預金が貯まって貯まってしょうがない今田兄さん。たけしと若手からの提案として「若手芸人のための寮を作って欲しい」とのこと。実現して欲しいわー。でも本人は「もし売れたら腹立つ」。えー。
    • 長州小力を観て、「井出らっきょの猪木だ」と言いつつ大受けのたけし。小力は全ての男に通ずるのか……! 因みに僕は、久々に本ネタかまして「ビーチボールやろ」と呟いた小力に吹きました。
    • お陰で、「絵上手いんだけどな」と印象が霞んでしまった赤P-MAN。その後が猫ひろしだしね……。

 今回のたけしのまとめは、大意でこんな感じ。

「自分達の頃はそんなに幅無かったけど、今は色んな幅がある。でも、それは全員がひとつの幅のファンにはならないということ。ジャンクフードのように、あちこちに同じ店があれば儲かるだろうけど、良い店は一軒か二軒しかない。ということは、良い芸になればなるほど固定ファン少なくなっていって、他のが無くなる。それはしょうがないことなのかも知れない。子供からお年寄りまで笑える芸はテレビじゃ通用しなくなる」

 たけしがこの企画で一貫して言い続けているのは、「とにかく今は細分化が激しい」ということ。色々な人間が色々な場所を見付けて自分達の「芸」を作りあげ始めている、ということですね。

 で、上記のまとめは、その細分化がスタンダードになることによって、かつてあった「みんなに受け入れられる笑い」(つまり「子供からお年寄りまで笑える芸」)の方が異端になっていく。それぞれの「芸」に、観る側も「自分の好きな芸」を見極め始め、そこにも細分化が起きていくということ……と僕は解釈したんですけど、どんなもんでしょう? そういう笑いが「テレビで通用しなくなる」とは、つまりはそういうことでいいのかな? 自信無ぇ……。

 人によって思うことは色々あるでしょうが、流石にひとつの真理を突いているなぁ、とは思いました。