実像と虚像。

 僕が憧れるのは、例えば司馬遼太郎の描いた「燃えよ剣」の土方歳三であり、吉川英治が描いた「宮本武蔵」の宮本武蔵であって、極端な話、実際の彼らがどういう人間だろうとどうでもいいわけです。まぁ、僕が「憧れの人」の欄に平気で「シャア・アズナブル」と書けるアレな奴だからというのもあるでしょうけど。

 だから、こういうのを「美化されてて嫌だ」という人はちょっと理解出来なかったりする訳で。フィクションはフィクションの世界として認識していけばいいんでないの?と思う次第です。

 だからといって、実像に迫ろう!という動きを否定するわけでもなく、どちらかと言えば興味津々なのですが。しかし、やっぱり今年の大河の「武蔵」には、何か見ていて煮え切らないものを感じるのです。

 脇役の演技は確かに渋いし、良いかも知れない(お通の米倉涼子と、石舟斎の藤田まことというキャスティングはどうかと思うけど)。でもやっぱり、殺陣のヘボさは本当に目を覆いたくなってしまうし、武蔵の過剰すぎる演技にはどうにかならないものか、と思ってしまう訳で。

 天下のNHK大河ドラマが、「アバレンジャー」より殺陣がヘボいっていうのは、やっぱり問題だよ。