「魔弾戦記リュウケンドー」(終)

 リュウガンオーがガンリュウに向かって「これからどれだけの女と会うか分からないが、最も愛したのはお前だけだ」と言い出した時点で何もかもどーでもよくなってどういう大団円だったかあんまり覚えてない。

 松竹映画のパロディや、普通の特撮ではまずやらない撮り方やエピソードのアプローチなど、楽しめる要素は確かにあったとは思うけど、純粋に「ヒーロー番組」として観たとき、そのあまりのズレっぷりのお陰で、結果的に全体の印象は「微妙」の一言な一年でした。

 多分作ってる方は、変にストイックだったり、暗かったり、ややこしい設定を押し出したりする特撮が主流の昨今で、ホントに「正統派」(悪く言えばベッタベタ)を目指していたんだと思うです。でも、結局そういう指向が、折角「ユルいコメディヒーロー」として成立しそうなところを中途半端に制限してしまっていて、全くいい方向に働いていなかった。

 それなのに、コメディが回を追う毎に激しくなっていって、「敵が象さん」とか既に悪ふざけの域にまで達していて、そんなことやってるから締めるべきところが全く締まらず、3 クール目ぐらいからはエピソードのバランスがガタガタ。分かり易いぐらいに「結局、どういうものがやりたいんだ」という状態でありました。

 更に、舞台が「あけぼの町」限定、という設定に結局何の理由もない上に、設定としてもたくさんの町人を完全に持て余し、最後にはなし崩し的に「日本列島が……」と取って付けたようなスケール増築と、もうなんだか。

 CG のクォリティはかなり高かったし、コメディとしてはかなり楽しめた回もありましたが、単純に「ヒーロー番組」としては完全に赤点の作品でありました。最初から突き抜けてコメディに走ってくれたら、また違う面白さがあったかも知れないのに。勿体ない。

 「ベタをベタにやるのにも、それ相応の力が要る」という教訓を教えてくれたことだけは、感謝しておきたいと思います。基礎をおろそかにしてはならんのである。