「めざにゅ〜」

 「めざにゅ〜ライブラリー」という、有名人が「人生の一冊」を紹介するコーナーに、富野由悠季監督が登場。冒頭の「『めざにゅ〜』をご覧の皆さん、おはようございます。富野です(満面の笑み)」という挨拶が素敵でした。

 富野監督が紹介したのは手塚治虫来るべき世界」。富野監督曰く、「小学校 5 〜 6 年のときに貸本屋で借りたけど、当時は『小学校も高学年になったら漫画なんか読んじゃいけない』という風潮だったため、漫画を借りることが凄くうしろめたかった」そうですが、「本当は、こういう番組で紹介するのはちゃんとした小説とかにしたいと思っていたけれど、どう思い返してもこれしか無かった」とのこと。

 「鉄腕アトム」で、演出やオリジナルのストーリーを描いたりする仕事をするようになって、改めてこの「来るべき世界」を読んで思ったのは「物語の構造が巧み」だと言うこと。この「来るべき世界」のポイントを解説して曰く、

その構造を「ストーリーの展開」としては見せておらず、何で見せているかというとキャラクター。
手塚漫画は「スター・システム」を採用して、キャラクターを「役者」と考えていて、そのことによってキャラクターが鮮明に表現されてる(大意)

 話は手塚治虫本人に及び、「半世紀前に、こんな構想力を持った(漫画家ではなく)「作家」が居るなんて。年を取れば取るほど、どうして手塚治虫といういち漫画家が、大して年も取ってないのに(「来るべき世界」執筆同時は手塚 22 歳)こんな大きな物語をこういう小さくパッケージングできたか、というのは……」

やっぱり謎です

どーん。

 そして、「来るべき世界」とは……

「僕にとっては「アトム」以上に傑作ですね。「ブラックジャック」以上に傑作ですね

 最後は「機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛-」の宣伝ついでにガンダムの話。今回、「来るべき世界」の話をしてみて、その影響化に居ると改めて思ったと言う富野監督曰く、

「ロボットものの主人公がいつまでのスーパーヒーローなんてのはつまらない

 そこから出発して辿り着いたのが「普通の少年が『やっちゃったんだよね』とか『乗っちゃったんだよね』というのが『ガンダム』や『アムロ・レイ』(大意)」と解説し、まとめて

「キャラクターが面白くなかったら観ないよね

 最後の最後は「機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛-」について。

(「来るべき世界」で得た)「キャラクター性」をどう考えるか、が「新訳」のヒントになった。
年を取ったから思いつけたことで、「解釈をちょっとだけ変えればいいんだろうな」って思った。
そういうのが、キャラクター作りの基本だと思う。(大意)

VTR明けの杉崎美香さんの感想は「富野さんって素敵な人ですね」。良かったね監督! ファンが増えたよ!(?)