「女王の教室全話ノーカット完全版!第一部・第二部」

 普段、特にドラマや映画は、余程のことが無い限り自分から見返したりしない方なので、こういう再放送があるのは有り難い。人気だったお陰でしょうか。今年のドラマで個人的に「野ブタ。をプロデュース」と並んで最も面白かったドラマ(感性が普通でごめんなさい)なので、朝から夕方までほぼ 7 時間、釘付けで観ました。年末に何やってんだろう……。

 (恐らく)当時の放送をそのまま連続で再放送(一部と二部の間に 30 分間空きあり)、話の間に神田役の子と由介役の子によるニコンが挟まれるという構成。今日は 7 話まで。

 そのミニコントの場所が編集室(サブと呼ばれる部屋。正確な名称知らない)で、なんか「水曜どうでしょう」の総集編みたいでした。このミニコントが、大分気まずい感じで、正直要らなかったかな……別に、「出演者の思い出トーク」とかでも良かったのに。

 最終回まで観た後、改めて一回から振り返ると、阿久津先生の真意を知っているだけに、色々と興味深いですね。まぁ、初めて観たときのような「こんな先生アリなのか!?」みたいな驚きは二度と体験できないのだけど、その分、最初観たときに非情だったり単なるイジメにしか見えない阿久津先生の行動にも、何か意味が見えてきて不思議なものであります。

 このドラマの良い所は、そういう風に「これがあるべき姿です」というような単純なメッセージにせず、あくまで「これが阿久津先生のやり方」と明示した上で、阿久津先生の行動ひとつ取っても観る側に解釈の余地を残してる点。あるやり方に対し、どう考えどう行動するかは人の自由。それはつまり阿久津先生の最終回の台詞に繋がり、神田を始めとする生徒達はそれを実践するわけだから。

 そう言う姿勢でありながら、既存の陳腐な教育論やPTAの論理といったものにはしっかり皮肉るわけだから、よく出来てるもんだなぁ、と改めて思います。

 今回 7 話まで再放送された中で、阿久津先生の解釈が変わったことで特に印象に残ったのは、 6 話で神田がどうやっても心を開いてくれない進藤のことを突然現れた阿久津先生に、「進藤さんのこと教えて下さい。先生なら知ってるんですよね?」と問うたシーン。

 このとき、阿久津先生は意味ありげな表情を浮かべて、進藤の過去を神田に教えてあげる。最初観たときは、それまでの問答無用の態度から「何だ、急に優しくなったもんだな」と、変に浮いて見えたのですが、阿久津先生の真意を知ってから観るとそれまでにも、非常に生徒達を気遣った行動は多々あって、全く違和感なく観られました。このシーンによって、一見阿久津先生に突き放されているように見える神田達が、実は非常に大事に扱われてることが分かる、という仕組み。

 他にも、佐藤が教室に灯油を撒いてカッターを阿久津に突きつけるシーンとかは、改めて観ても強烈だったなぁ。シーン自体の強烈だけれど、カッターをガシッと受け止めて、冷静にハンカチ握りしめて止血する阿久津先生の立ち振る舞いがカッコ良すぎる。

 それにしても、今更だけれど本当にみんな演技上手いなー。主演の天海祐希や、教師や親役の人たちは勿論としても、生徒役に誰一人「ハズレ」が居ないのが凄い。全員小学生、行っても中学生だろうに。特に、神田の表情や進藤の台詞は際立っていて、誰が選んだが知らないけれどキャスティングした人万歳。あと、どうでもいいけど神田役の子は「仮面ライダー龍騎」に出てたらしい。全然覚えてない……。佐藤役の子が「仮面ライダー剣」に出てたのは覚えてんだけど。

 そんな感じで、改めて観ても大変面白かったんですが、ただひとつ、改めて観てもやっぱりどうにも受け付けなかったのが、由介のギャグ(特に最初の 1 〜 2 話)。最初、この子が繰り出すギャグ(しかもどれも古い)の強烈な上滑り感に、「だから子役って奴は……!」とわなわなして、後の演技でこの子を見直した、という経緯だったのですけど、改めて観てもやっぱりとてつもなく上滑りしていました。

 演出意図としてはそれが正しいのは分かるのだけれど、この子がギャグ(というかふざける役)をやり慣れてないのが丸見えで、それがまた観てて恥ずかしく、もう少しちゃんと演出してやれなかったものかと、ここだけは本当に悔やまれます。

 まぁ、それはともかく明日の再放送では毎回急展開の話なので、観てなかった方にはオススメ。今日までの放送は公式サイトドラマは何でも教えてくれるさんで充分補完出来ますので(こちらもちゃんと後で観て欲しいけれど)、そちらを読んでから観ると吉。騙されたと思って、観てみて下さいませ。