「M-1グランプリ2004」

 はい、完全に出遅れた感想です。今から書くことは全部誰かとカブってるので、半笑いで読むがいいさ。どうせ僕ぁタイミング逃す男だよ。以下は全部僕の勝手な思いこみと、出遅れたことに関するヤケクソ混じりなんで、偉そうな文になってますが、あんまり細かいことはツッコまないで頂けると有り難いです。

  • 千鳥
    • 誰もが言うように、二回目の一番手という、「経験」という意味では有利な状況だったと言うのに、何故にそのネタを選択したのか?というのが最大の疑問。
    • とにかく「間」が長かった。間を取るということは、その間の後に来る言葉でオトさなきゃならない筈なのですけど、そのオトす言葉が決まり言葉だったり弱かったりととにかく地味。それが千鳥、と言えばアレなのかも知れないですが、千鳥には「言葉で引っ張り続けるだけ」という訳わからん強烈なネタを他のネタ番組等で披露しているわけで、一体千鳥自身がこのネタのどこに自信を感じていたのかが分かりません。そのネタを決勝にとっといたとして、それでも「お笑い登竜門」でやっていたネタの方が僕は好きです。
    • そんなこと言いつつ、面白かったんですけどね。ただ、一番手として掴めるネタではありませんでした。
    • 「丘に向かうぞ!」
  • タカアンドトシ
    • 個人的に、一回は勝って欲しかったです。僕はこういうテンポのある漫才が好きなので。別に嫌いな漫才も無いのですけども、こういうの意外に少なくなってる気がいたします。
    • ネタ自体は本当に面白かったです。テンポもいつも以上に良かったですし、怪しいところも無かった。そして何より、構成が素晴らしかったです。個人的には、あの芝居への導入部さえもっと自然になればもう言うことなしです。逆ツッコミも決まってました。前観たときとは強さが違う(それは良いことなのか?)。
    • 点数が意外と振るわなかったのが残念。良くも悪くも安定していたということなんでしょうか。ただ、今回の決勝進出 9 組の中で、唯一殆ど喋くりだけであそこまで笑いをさらったことはもうちょっと誉めてあげて欲しいなぁ、と思っています。
    • 「俺ツボか!」
  • 東京ダイナマイト
    • 漫才もコントもそんなに数観てる訳じゃないんで偉そうなことは書けませんが。
    • 春風亭小朝さんが言っていたように、「もっと面白いネタがあるのに、何で?」というのはそれでもあります。「肉まん」というコントを漫才にコンバートしたネタや、「床屋」の漫才ヴァージョンなど、話に聞いてるだけでも面白そうなネタはいっぱいあると言うのに。
    • 要は、一発でガーン!というタイプじゃないのだと思うのです。ハチミツのツッコミにしても、松田のボケにしても、ネタ自体の構成しても、くすぐってくすぐってくすぐって離して離して離して引き戻してジャーン!(擬音ばっかり)というような感じが強いので、この「 4 分で」というフォーマット自体が不利なのかも知れません。ひとつひとつを外さない代わりに、そのひとつひとつはジャブ、というか。知ったような口叩いてごめんなさい。
    • あと、掴みの刀の下りで観客が「………え?」となってたのがマズかったのかも知れません。僕は好きなんだけどなぁ……。更に「漫才に小道具」ということ自体が多少の減点になってる気もなきにしもあらず。
    • 「 2011 年までに優勝します」という言葉が実現するのを願ってます。
    • 「2,000,000,000,000ですよ?」
    • 番外「昨日の夜『もしかしたら優勝するかもしんねぇ』と思ってた自分を殺してやりたいです」
  • トータルテンボス
    • 「ハンパねぇ」を封印した代わりに、藤田の他のナイスツッコミフレーズまでが封じられてたのが大変に勿体ないです。先日の「お笑い登竜門」でも同じネタをやってたので、その辺の差が凄い。藤田のツッコミのフレーズだけで随分笑いの量は違うと思うのですが。このネタの「同じネタで引っ張り続ける」という性質からしても、ツッコミのバリエーションは不可欠だったような気もします。
    • その割に、顔芸は残すんだよな。この辺がよく分からない。その顔芸自体も、微妙というかなんというか、だったので、個人的にはもっと藤田にツッコミを頑張って欲しかったです。
    • 途中、大村がネタを間違えて「やばい、間違えた」という顔をしたのは減点に入ってるかどうかは知らないけど、マズイと思います。そこをフォローしなかった藤田もマズイ。更に、大村が藤田からは顔が見えない方を向いて白目を向いているときに藤田が「白目剥いてんじゃねぇよ」的なツッコミをするのも、なんとなくマズイ気がします。「お前、何で見えたの?」というような。余計でしょうが。
    • 勿論面白かったのですけど、露骨に緊張が見えてしまった感じです。もっと場数を踏んで再挑戦に期待。
    • そして、トータルテンボス観る度に書いてるような気がしますが、やっぱり「今日のハイライト」は余計だし要らないと思います。
    • 「はげ散らかすみたいに言うなよ!」
  • 南海キャンディーズ
    • 既に 3 〜 4 回観たことのある筈のネタだったのに、今までとは質そのものが違ってました。びっくり。ネタ展開全て知ってるのに、涙出るほど笑ってしまいました。
    • まずはやっぱり、山崎の動きが半端なく鬼気迫ってたこと。今田も言っていたように「火を怖がるサイ」とか、絶対冗長になりそうなところを掴まれっぱなしでした。あと、関節に油差したかのように動きが滑らかだった(ロボット扱いか)。テンポもしっかり守っているし、前観た南海キャンディーズは何だったんだ?ぐらいの感じです。こういうとき、こいつらの進化を逐一見守れる人が羨ましいと思います。
    • 山里のツッコミは、審査員の評にもあった通りひとつも外してなかったし素晴らしかったのですが、やっぱり勝負は最初の「その怒りの拳は日本の政治に向けて下さい!」だったような気がします。別番組ではこのフレーズが見事にスベってその後ヤヤウケで終わってしまっていたのですが、今回はもうガッチリ決まっていました。その要因は、山崎がしっかりテンポを守っていたのと、山里のツッコミの「間」が完璧だった故。掴みでこれだけ決めれば、もう怖いもん無しでしょうね。
    • 決勝進出、おめでとうございます。
    • 決勝のネタは、いきなり井上和香に絡んだ時点で優勝捨ててるのが格好良かったです(いや、捨ててないんでしょうけど)。基本的に山崎が喋りっ放しだったので、自然山里のツッコミは減っていて、人によっては先のネタよりは……という感じだったでしょうが、僕個人はこっちも好きです。
    • チャンスはまだまだあるので、このままガンガン突き進んで下さい。
    • 「中盤でそんなトリッキーなことしないでくれよ!」
  • POISON GIRL BAND
    • 何が一番笑ったって、今田に対して「今までは目の前で相撲しか取ったことないんで」という下り。「やりにげコージー」の話ね。
    • ネタ自体は、個人的には前にどこかでやっていた「バレー」ネタが好きでした。時期的に外してるからこの判断なのだろうけど。
    • 小朝さんの「いつもはもっと遅い」というのはよく分かります。具体的に言うと、阿部のボケに対する吉田の「………こいつ何言い出してんだ?」という感じの間。そこがホントに好きで、あの間によって吉田と阿部の関係性が見えない上下関係になって、あのスタイルがより際立つような気がしている勘違い野郎の僕としては、あの間が弱まってしまったこのスタイルに、「台詞を追う必死さ」をまず感じてしまいました。とても残念。
    • スタイルはもう確定しているわけだし、あとは経験と研磨だと思います。南海キャンディーズだって(失礼)ここまで進化したわけですし、次にはもう見違えるぐらいになっていて欲しいところです。
    • 「総取りなんだ」
  • 笑い飯
    • 前に出た「笑点」で、畳み掛けが無くても笑わせられるということは十分に証明していました。
    • ただ、この「M-1グランプリ」という場では、やはり昨年のインパクトが誰の頭にも残ってるわけで、やはり誰もが言うように求められるハードルが上がっていたのかなぁ……という気はします。
    • 単純にネタ自体が弱かった感もありましたけども。「松紳」に出たとき、松紳から「おもろい中に平気でおもろくないもの入れてくるのが凄い」と評されていましたが、そこが悪いところに出てしまったんでしょうか。出るボケ全部がくすぐり止まりで、かといってネタがコンボで構成される性質上、東京ダイナマイトのような伏線的楽しみは皆無なわけで、勢いも生まれないと、もうネタ選びから何から何まで色々とマズかったような気がします。
    • ナンチャンの「熱量が足りなかった」というのは言い得て妙かと思います。「こなしている」という言葉がぴったりな印象。それであれだけ笑いを取るんだから、ある意味では安定しているんでしょうけど。
    • でも、その辺を当人達が殆ど気にしてない様子なのが強みではありますよね。あいつらが変に反省してたら嫌だ。するんだろうけど。してなきゃ困る。
    • 個人的には、「変に技術を覚えてしまったから」と言うよりは、何かのスイッチが入ってなかったような印象です。そのスイッチが何なのかは知りませんけど。
    • まだ 5 年にして決勝三回経験済み、という要素が彼らにとって追い風でもあり、足かせでもあると言う皮肉を感じました。やっぱり本人達は気にしないんだろうけど。そこが良いところ。
    • 「『そっくり』とかまで言わなあかんやんか!」
  • アンタッチャブル
    • 書くことはありません。とにかく何から何まで完璧でした。
    • 山崎のキャラが浸透したというのもあるんだろうけど、掴みから一瞬で持っていったのには圧巻。柴田のツッコミも冴えてて、決勝のネタでは舞台を大きく使った動きまで使っていて、徹底した定型で、もう僕なんかが何か言えることなど何もありません。正に文句無しの優勝。そして、この優勝を以て、ある意味で「M-1グランプリ」は本当の「グランプリ」としてリ・ボーンするのであります。正に群雄割拠という奴。わー楽しみだ。
    • ネタでも地位を得、バラエティでは既に確立と、もう敵無しだなぁ。事前番組にも出てた有田に存分に誉められるがいいさ。
    • 優勝、おめでとうございます。泣きそで泣かない柴田に、感動しつつも相変わらずの調子にする山崎に拍手です。
    • 「しかしぃ〜?」
  • 麒麟
    • いつぞやの「マジカル美勇伝」の感想文で「敗者復活戦頑張れ!」と無責任にも書いた手前、「勝ち上がれ!」と気が気でない状態で待っていたので、勝ち上がってきたときはホントに嬉しかったです。で、川島の嬉しそうな顔を見て再び「頑張れ!」と思いました。
    • 一本目は、 2 〜 3 回観た癒しネタ。けど今日のが一番面白かったです。何と言っても、川島の声の張りが前とは全く違います。特に熊に変身(?)したときなんか圧巻。そこまでの動物フリも利いて、あそこでもう最終決戦決定したようなもんであります。
    • 二本目も 2 〜 3 回観たネタ。こっちは前どこかの番組で観た方が良かったかな…。それに、一本目には川島の動きがあった分、川島がほぼナレーションオンリーなこのネタが余計地味に見えてしまった感じがあります。十分面白いんですけどね。ネタ自体には二本とも何の文句も御座いません。
    • 田村の体中から湧き出たかのような叫びは素晴らしかったのですが、ネタとしたらそりゃ減点対象にするしかないですわな。残念。
    • 麒麟の評判があまり宜しくないのが更に残念。みんなそんなにベタが嫌いかね。その辺の不評を、僕はひっくり返せるだけの可能性はあると思ってるので、頑張って頂きたい。今、あれこれ言ってる連中に、来年恥かかせてやれぐらいの。
    • 「頑張れ俺たち!」
  • 司会者
    • 今田は去年に余裕も出たのか、話題振りも速やかだったし、時に弄りまでやっててもう円熟の感さえあり。来年もどうぞよろしく。
    • 井上和香は、噛みまくっていましたが、最終決戦の南海キャンディーズに引かなかっただけで補って余りある仕事っぷりでした。
  • 審査員
    • やっぱり、紳助・松本の二人が居ない穴は埋めきれなかったなぁ……という印象。包む空気が全く違う。「オモロイ!」の一言で審査が成立する人がやはり貴重でした。ウッチャンもやはり来られなかったし……。
    • でも、審査自体はとてもまともだったと思います。誰のコメントも的を射ていましたし、何の文句もありません。特に小朝さんのコメント術が秀逸でした。アンタッチャブルに「でもこれより面白いネタあります?」と訊いたりとか。大竹まことの感情むき出しのコメントも良い。
    • きよし師匠は、審査自体はまともだったと思います。コメントも点数低いときでも良いところを誉めていましたし。ただ、それ以外の部分で空気を停滞させすぎる……。きよし師匠をコントロールするには、ナンチャンでは足りなかったように思います。やはり、今田の隣に置いておくのが一番安全。
    • ナンチャンはもう出ない方がいいんじゃないかなぁ……ナンチャンにとって、芸人としての信用を落とすだけのような気がします。ただでさえ失いかけてる信頼な訳ですし……。審査がどうこうじゃなくて、そこ以外の部分で。
    • 結論としては、早く帰ってこい紳助、ということです。
  • 自分
    • 観終わって、更に色んな感想を読んで思うのは、「苦手な芸風とか無くて良かったなぁ」ということ。それぞれのコンビを、それぞれの味で楽しめました。ああ、節操が無い人間でホント良かった!と開き直り気味に思う次第です。
    • 事前としては、とにかく麒麟に勝ち上がって欲しい!と思ってただけなので、その他のコンビに関してはホントに何の期待値も無かったのが利いたのかも知れません。
    • 終わって思うのは、とにかく麒麟には見返して欲しい、ということ。こんな不当な(でもないんだろうけど)評判無いよ。頑張れ!
    • あと、どうでもいい情報として、東京ダイナマイトを横で観た母親が「あれって元・猿岩石??」と訊いてきたのがこの日一番嫌なことでした。

 今回、一番得したのは南海キャンディーズですよね。来年以降の活躍が楽しみです。そして、「アンタッチャブル」という最後の無冠が居なくなった「M-1グランプリ」が、どうリ・ボーンしてくれるのかも楽しみです。

 非常に楽しませて頂きました。来年も楽しみに待ちつつ、しがないテレビジャンキーに戻ります。有り難う御座いました。

 そういや来年は「R-1グランプリ」も全国放送ですね。楽しみ〜。