カーネーション「SUPER ZOO!」

順延してすいません


 前作「LIVING/LOVING」は、三人体制ではあったけれどもガッチリ「楽曲」があって、それを三人のアンサンブルで料理していった、という印象のアルバムでした。故に聴いていてまず耳に残るのは「メロディ」であったり「楽曲構成」でした。

 でも今回の「SUPER ZOO!」はと言うと、非常に「セッション」の香りがするのです。スタジオに集まって、音を出しながら段々曲が出来ていったような、そんな感じ。初回特典で付いてくるDVDのドキュメント映像を観れば、そんなことでは全く無いことは一目瞭然なのですが、なんとなくそんな感じがするのです。そう、「なんとなく」としか言いようがないこの感じ。だから、一通り聴いてまず印象に残ったのはその「音」でした。

 勿論、楽曲のインパクトが前作に比べて弱いとか、そういうことでは全くないのです。前作よりも楽曲のバリエーションも増えているし(結成 20 年のバンドに向かって書く言葉じゃない…)、好きな曲も沢山あるのですが、何故か「音」でした。前作よりもエッジの角度が若干水平方向に傾いて、どんなに尖った曲でもどこかに丸みを感じさせる柔らかい感じの「音」。でもそこには「力」がしっかり込もっているために、凄く密度が濃く感じられる「音」。この「音」は、僕にとってこのアルバムの象徴であります。

 そう言う意味で、単純に「アルバム全体の緊張感」では前作の方があったような気がします。今作を包む空気は、とても緩やかな感じがするのです。そこに、前作が「演奏している」、そして今作が「作り上げられた」(いや、勿論全作品作り上げられているのですけど)という感触を、僕は感じました。

 ホントに、良いアルバムです。バンドの「顔」と「音」が直結していて、それがとても強く感じられる作品。 20 周年というアニバーサリーに出るには相応しい作品だったんじゃないかと、大して知りもしないくせに思ったり致しました。

 それにしても、「SPECIAL THANKS」のメンツが凄い……交友関係、広いんだなぁ……。つい先日の 20 周年記念ライブにも色んなゲストが来たらしいですし。良いなぁ、そういうの。