ラーメンズ第14回公演「Study」

 「ATOM」で“演劇”の高みを見せたかと思ったら、「CLASSIC」でベタに振れたりと、その振り幅の広さをこれでもかと見せつけられ、この「STUDY」ではその“雑食性”を見せつけられた結果となりました。

 前回の「CLASSIC」程ではないにしろ、全編実にコントらしいコントで構成されており、どちらかと言えばとてもベタなパターンが採用されている印象があります。あるあるネタのようなパターンまで採用されていて、笑いの面でも様々な形を組み込んできています。更に加えて、「演劇」部分でも、今までのようなミステリアスな雰囲気や、どこかつかみ所のない世界観は成りを潜め、もの凄く一般的な“良い話”を採用していて、その遊び心が、「CLASSIC」のとはちょっと違っていて、今回は「演出家として」の遊び心で、観ていて非常に心地よいです。

 先月、id:hilocoさんから頂いた記事の中で、こんな記述がありました。

それにくわえてこの公演では、いろんなお笑いグループのさまざまなコントを彷彿させるような"一般的お笑い手法"も結構取り入れていて、「ラーメンズはこういうメソッドを避けてきていたのかと思ってたけど、試せるぐらいに器に余裕がでてきたんだねぇ」と偉そうに思ったのも憶えています。

「器に余裕がでてきた」という記述と、このビデオに溢れる「こんなのもやっちゃうよー」みたいな雰囲気が実にマッチしていて、数週越しに「ああ、そういうことなのか」と納得させられた次第です。

 でも、ひとつ個人的に気になることがあって、それはラーメンズには直接関係はしないのですけど。ラーメンズは、公演を重ねる毎に、どんどんパズルのピースを埋めて行ってるような感覚があって、そのお陰で、どんどんどんどん語るべき言葉が無くなっていくんですよね…。それはただ単に僕に語彙が無さ過ぎるだけなんですけど、あるピースが無いからこそ、今あるピースについて語れる、みたいなとこがあるような気がするんです。パズルの完成品観たって、「凄いなぁ」以外思えないじゃないですか(と、同意を求めてみる)。そう言う意味で、ラーメンズはビデオを観る度に、面白くは感じても感想がえらい書きにくいという状況にどんどんなっていくのでした。ラーメンズにとってはもの凄く良いことですけどね。