カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)「シャイニング 愛しき貴方」

 CD音源で聴いてみて、まず吃驚したのはその楽曲の短さ。三分あるかないかですよ。てっきりテレビでやってるのは短縮版だとばかり思っていたのに、あれがフルだったとは。ユニット名はべらぼうに長いのに、曲は短いんですね(上手いこと言うたった!)。

 でも、その曲の短さも、この曲の放つ強烈な「 50 年代〜 60 年代臭」から考えると、ある意味必然かも知れません。あの頃の曲って、二分強ぐらいしかない曲多いですものね。二番のAメロが無いとかザラ。

 個人的なことではありますが、この曲を聴くと、小さい頃観ていた「ポンキッキーズ」で、最後必ず流れてたルイ・アームストロングの曲思い出すんですよ。もう曲名も、どんな曲だったかも殆ど確かじゃないんですけども、ただ映像だけは強烈に覚えているのです。ルイ・アームストロングの声で、普通のブルドッグが熱唱するんです。当時、ルイ・アームストロングなんて知りませんから、ずっとそういうキャラクターだと思っていたわけですよ(ガチャピン、ムックと同列)。だから、今でもルイ・アームストロングの声聴くと、ブルドッグが浮かぶわけです。

 で、この曲。単純に曲調が、ルイ・アームストロングっぽいというか、その頃のバラードっぽいのもあって、非常にイメージ想起力(?)が強いように思います。聴けばある種のイメージがばっと広がる、というか。サウンドも、コーラスが幾重にも重なっている上になんかキラキラしてて(アバウトですいません)、妙な幸福感に溢れていて、とても心地よい感じです。曲調は、「なんでアイドルがこんな曲を?」という感じですが、この幸福感は、やっぱりアイドルが歌ってこそだな、という気は致します。一切ドロドロしてないとこが重要なのです。且つ、無駄なゴージャス感の無い、質素で美しい幸福感、という趣は、アイドル歌手ならではの様な気がします。本人達のキャラクターも込みで。

 あと、意外に思ったのは、ファンの方には大変申し訳ないのですが「藤本美貴さんって意外と歌えるんだ」ということ。正直、映像無しでは、どこを誰が歌っているのか一切判別出来ない僕でありますが(ヤンタンでカラオケ歌ってたのに…すいません)、藤本さんの鬱陶しいぐらい(すいません)の感情込めた歌唱に加え、サビ前で見せる声量はちょっと意外でした。なんか鼻の裏で歌っているような印象があって、あそこまでのヴォリュームを出せるとは思わず。更に、歌唱のヴァリエーションも大分多いようで、やはりサビ前のトーンの変化には目を見張るものがありました。流石ソロ歌手。

 そんな、ハッピー且つブルージー(?)な曲ではありますが、惜しむらくはやはり生演奏では無いこと。ただ、今回の場合、サウンド的に打ち込みがどうこうと言う訳ではなく(かなり健闘しているサウンドだと思います)、イメージとして。この曲調だったら、やはりバックにはウッドベース弾いてる人とか、ピアノに座ってる人とか、ドラムをスティック横持ちで叩いてる人とか必要でしょ?そういうイメージがバッと出来る曲なのに、「でも人間が弾いてません」となると、ガックリくるじゃないですか。凝りに凝ったコーラスがちゃんと生で、プロに頼んでいるから余計にそう思います。でも、普通に聴く分には、とても良いシングルだと思いました。

 ただ……これは言ってもしょうがないとは思いますが、タイトル、もっとどうにかならなかったんですかね……。