TMG「TMG I」

 そう言えば、かなり久々だなーこういうの。前回書いたのが、「セカンドモーニング」ってのが我ながらイカれてるな。軌道修正せな。

 というわけで、待ちに待ったTAK MATSUMOTO GROUP略してTMGのファーストアルバムです。ヴォーカルに元MR.BIGエリック・マーティン、ベースに元NIGHT RANGERのジャック・ブレイズ、そしてドラムには、ブライアン・ティッシーレニー・クラヴィッツのバックで叩いてるシンディー・ブラックマン。そして、ギターを弾くのは勿論松本孝弘。こういった布陣で完成されたアルバム、「TMG I」は、僕自身の期待に違わず、とても素晴らしいアルバムでした。

 松本孝弘曰く、「ミュージシャンは、年を取る毎に自分の原点に返っていく」のだそうです。例えば、Eric Claptonが年を取る毎にブルースにレイドバックしていくように。このアルバムは、正にそういうことなのだと思います。ミュージシャンとして、B'zで充分すぎる地位と名声、そして財力と人脈を手に入れた松本孝弘が、その得たモノを最大限に使って、かつてギター少年だった頃愛した音楽、 70 年〜 90 年代のHR/HM。それを自分で演奏する。それはつまり、言い方は悪いですが、このアルバムは「金をかけまくった先人達の焼き直し」と言えます。

 そういう意味では、Claptonの「Me and Mr.Johnson」とカヴァーアルバムとオリジナルアルバムという違いはあれど、位置づけとしては似たようなものの様な気がします。松本孝弘自身の強烈な「憧れ」が具現化したアルバム、それがこの「TMG I」なのではないか、と僕は聴き終わって思うのでした。

 なので、このアルバムの収録曲は、全曲「◯◯っぽい」で表すことが出来る曲ばかりです。例えば、M-5「I wish you were here」なら「エアロっぽい」、M-13「Two of a Kind」なら「ジミヘンっぽい」とか(これに関しては、ラジオで本人が「まるっきり『Little Wing』ですね」とカミングアウト)。

 これが悪いことかどうかは、人それぞれあるかとは思いますが、僕としては、これだけの人を集めて、尚も子供のようにはしゃぎながらこういうアルバムを作ってしまう松本孝弘のある種の「無邪気さ」に驚嘆すると共に、最近の(特にタイアップ関係で)ある種の「義務感」を漂わせているB'zと比べたとき、単純に楽しそうで、とても嫌いになれるアルバムではありません。まぁ、そもそも僕はMR.BIGもNIGHT RANGERも、というか 70 〜 90 年代のHR/HMでさえ真面目に聴いてないので、そういう側面からの評価が不可能というのもあるのでしょうけど。

 惜しむらくは、全体的に音が薄いことと、和楽器の取り入れ方というかアプローチの仕方が、とてつもなく「外人っぽい」(要するに、すっごいベタ)のがちょっと笑えてしまうところでしょうか。

 楽しそうに演奏しているのを聴いて楽しくないわけがない(まぁ、インタビューなどを読むと、色々とゴタゴタがあったようですが。特にエリックが)ですし、「外国人と組むから」ということで変に片意地を張らずに楽しそうに弾いてくれている松本孝弘を観られると言う嬉しさもあります。これからも、 1 年に数回ぐらいの活動で構わないので、続けていって欲しいなと思います。そして、この「TMG」という大がかりなレイドバックが、どうB'zに還元されるのか、その辺も楽しみになってきています。取り敢えず、ヘビーローテーション決定。

 もっと細かい感想は、その内三点倒立の方にでも書きます。そのためのファンサイトですし。

追記:書きました。細かくするつもりが書いてみたら大雑把でがっくり。