B'z「Brotherhood」

当時は真剣に騙された合成


 B'zの 10 枚目のアルバム。松本氏の「ロックをやろう」の一言で製作された、B'z初のコンセプトアルバムでもあります。

 出所が「ロック」と言うだけあって、このアルバムで特筆すべき点は正にそのサウンド。生音・生バンドの醍醐味がドップリ詰め込まれた、分厚くて太いサウンドが目白押し。このアルバムのサウンドの水準は、掛け値無しにもの凄く高くなっております。ビリー・シーンパット・トーピーなども参加。

 ただ、サウンドに意識が行きすぎたのが楽曲の方はどれもB'zならではのキャッチーさやポップ感などはゴッソリ削られていて、それが効果的になっていれば良いのですが、結果的にアルバム全体の雰囲気が暗めになり、ストイックと言えば聞こえは良いものの、なんだか聴いててもあんまり楽しくないアルバムとなっています。

 致命的なのが表題曲「Brotherhood」であって、曲はなかなか、サウンドは素晴らしい、なのに歌詞がまるで中学校の卒業アルバムのようなとても直接的な単純すぎる歌詞で、全てが台無しになっています。表題曲のしょっぱさと暗めの雰囲気によって、コンセプトアルバムとしては正直、しょっぱいアルバムになっていまいました。

 この後、結局B'zは元の路線に段々戻っていってしまうわけですが、このアルバムがちゃんと作れていればまた違ったのかなーと思います。勿体ないアルバムでした。