Cymbals「Anthology」

70年代っぽい


 例によって、Cymbalsに関する予備知識は一切無し。メンバーどころか、何人組なのかも知らずに、伝え聞く評判だけを頼りに購入。我ながら、結構な冒険してるなぁ……これで大外れだったら、3000 円どうするつもりなんだ、自分。

 まぁ、そんなわけでCymbals初体験な訳ですが、取り敢えず 3000 円損はせず。伝え聞く評判は、伊達ではありませんでした。

 不思議なバンド、という第一印象。サウンドの傾向が、パンクっぽかったり、エレクトロニカっぽかったり、時にズドンとどポップスだったりと、驚くぐらい多種多様に渡っているのに、雰囲気が一緒なんですよ。で、その“雰囲気”がとても不思議な感じなのです。

 どういう風に明文化したらいいか分からないのがもどかしいのですが、何というか、抵抗 0 で体内に流れ込んでくる感じ、とでも言いましょうか。サウンドは多種多様、音も大分詰まってるのに、音の全てが体内にギュインギュイン入って来るんですね。こんなんで果たして分かっていただけるか分かりませんが。

 その「入ってくる感じ」が、どうしようもなく「音楽聴いてるっ!」って気持ちにさせてくれて、大変心地良いです。フワフワ〜っとした感覚。みんな好きになりますよね、そりゃ。

 あと、細かいところだとオルガンの音とアレンジが溜まらなくツボでした。「ここ!」というところにズッバッァアアアっとオルガンが入ってて、その音色もとても良くて、かなり好きです。

 あと、これは僕の聞き間違いかも知れませんが、曲中で楽器のヴォリュームが入れ替わり立ち替わりになっていて、サウンドの中心がコロコロ変わっていく様子が時々聴かれて、その辺も楽しいです。

 Cymbalsは、昨日のラストライヴを以て解散したそうです。こういうの聴きますと、「あ〜……なんでいっつも遅れてんだろうなぁ」と、自分の出足の遅さを激しく悔いるのであります。それぐらい、楽しいアルバムで、是非リアルタイムで体験したかったなぁ、と思うのでした。