安原兵衛「青春のアウトライン」

兵


 帯に書いてあるコピーを引用。

「ジャンルがわからない……とりあえずポップスとしておこう。至高のファーストアルバム。」

 最初観たとき、「この“書かされた”感満載のやる気のないコピーはなんなんだ!」と怒りたい気分になったのですが、聴いてみると「嗚呼……気持ちは分かります……」という気分に一転。そんなアルバムです。

 テクノっぽい音が鳴ったかと思ったら、その裏でジャズみたいな音が鳴ってたり、機械音に埋め尽くされたように見えたらバンドサウンド鳴ってたり、エフェクトみたいなヴォーカルだと思ったら情感歌い上げたり、もう訳が分かりません。サウンドのどこにも焦点が絞れません。

 特にビックリするのが最後の曲「声」。それまで、機械音等々色々鳴っていたのに、この曲で突如としてメロディアスでバンドサウンドが展開されて、通して聴いていても「あれ?アルバム変わった?」と確認してしまうほど。

 でも、このアルバムは一貫して、とても綺麗です。機械音、生音と色々鳴っているのですが、音作りのお陰かどうか分かりませんがちゃんと響いていて「空間」を感じさせる音になっています。

 「とりあえずポップスとしておこう」じゃないですけども、テクノやエレクトロニカといったものによくある、同じ音が延々鳴り続けるといったようなことは殆ど無く、必ずどこかで何かがメロディを奏でているので、受ける印象がとてもポップで、機械音がそんなに得意でない僕でも充分楽しめる作りになっています。曲も長くて4分ですし。

 全然関係ないですが、一曲目「Digital 9」を聴いてると、ひどく懐かしい気分になるのですが、何ででしょう?何だか、小さい頃観てたポンキッキーズとかウゴウゴルーガとかの映像が脳裏を過ぎるのですが。