「めちゃ×2イケてるッ! SP」

 前回のオカザイル編が、僕はあまり好きではありません。理由は全編に渡って「どうです!? 岡村さんってすごいでしょう!? すごく頑張ってるでしょう!?」という誰かのドヤ顔が透けて見えて来るほどの構成に、観ている内に「知っとるわボケーーー!」となるからです。

 「めちゃイケ」という番組は、ときにドキュメンタリー風を装ってはいるけど、基本的にはフェイクドキュメンタリーなバラエティなわけですよ。全部は「つくりもの」なわけです。その文脈で「頑張っている岡村さん(=オレたち)」なんて語られた日にゃあ、鬱陶しいったらありゃしない。そういうものは、作り上げた「結果」から観ている人間が想像するか、それこそ他所の場所で求めている人間だけが観られるものにすればいいと考えます(映画で言うなら、特典映像に「メイキング」が入る感覚で)。

 で、今回。2011年に起こった事象に加えて「岡村の復帰」という最大のトピックを受けてのそういう過去のある「オカザイル」復活と聞くだけでげんなり。あぁ、きっと所謂「感動大作」が作られてしまうのではないか……悪い予感しかしませんでした。実際、始まっていきなり「日本中が感動した……」とか臆面もなく自分の番組のことを褒める姿勢に反吐が出そうでしたよ!

 が、いざ観てみたらあら意外。面白かったですよ。

 まず、何より企画の趣旨が「オカザイル」そのものではなく、「オカザイルに参加するためのダイエットになったお陰で、前回もっとも(僕にとっての)鬱陶しかった「ストイックな岡村さん(=オレたち)」が、「肥満」という要素によって相殺して全てをギャグにしてるお陰で、暑苦しさもなく、むしろ岡村が真剣にやればやるほど、そのだらしなさすぎる体が逆の意味の説得力を発揮していてコメディでした。

 そのコメディ感が、前回だったらメインになっていた「ダンスへの取り組み」にまで派生していたお陰で、オーラスとなるステージ披露もやっぱりギャグになっていて(本番でもやっぱり寝ちゃうとこは笑った)「めちゃイケ」が本来目指すべき(と勝手に僕が思っている)形にかなり近かった放送でした。

 散々笑った挙げ句に、警備員姿で乱入して好き勝手やる岡村さんのものすごい堂々とした「異物感」には、(バラエティ的に)ちょっとウルッと来てしまいましたよ。面白くて。かつてのモーニング娘の「修学旅行」が面白かったのは、その岡村さんの「異物感」なんですよ。それまでの物語的過程を全てジャンプして「何でそこに!?」な感じ。そうそう、これこれ、って感じです。

 その後の「Choo Choo Train」をバッサリ切って、さっさと「打ち上げて食いまくる岡村」というオチに繋げた構成も素晴らしい。常日頃、「めちゃイケ」が掲げているお題目を「具体的な形として」達成したいなら、ここまでやって最低ラインって感じじゃないでしょうか。これからも宜しくお願い致します。

 ただ、熊田曜子のところだけは完全に蛇足。というか、熊田さんも岡村さんも既に違うステージ行ったのに、いつまでもそのスキャンダル引っ張って面白いと思ってるの作ってるアンタ達だけだよ! と思います。