「大魔神カノン」

 あの……これは一体、いつ面白くなるのでしょうか……

 タイトルの「大魔神」は、冒頭のナレーションからして多分最後に持って来るんだろうな、ってことは判る。だけども、だからって、ここまでドラマが分離しまくってていいのか!?

 主人公のウジウジ・グズグズの話と、妖怪達との戦いは一向に交わらない。あくまでも別々に展開していく。

 しかも、それぞれの筋が面白いんだったらまだ救いはあるものの、主人公の方は第一話で済む話を六話も引っ張った所為でうっすーく、なっがーいだけの退屈話。「丁寧に作る」ということと「無駄な部分も描く」とは違うと思うんですけど。その割に、鍵となるヒット曲はどう聞いてもヒットしそうにない曲だし(あのジャケットの初心者がフォトショップで作りました感は何なんだ!?)、主人公の部屋は学生一人暮らしには分不相応に広いし、更に運命の再会が偶然見つけたからとか、細かいとこは杜撰だし。

 大体、今週の先輩の台詞、

「少女漫画の主人公みたいにピュアだよね」

よくもまぁ、こんな陳腐な台詞が吐けるな! と。そもそも、「バイト先でポツン」とか、「トラウマから逃げるように街を彷徨」「人の良さにつけ込まれて騙される」とか、手垢でべっとべとですよ? しかも次回予告「人を信じない生き方を選んだカノン」ってお前馬鹿かよ

 そんで、妖怪達の方は方で、何か悪玉を追ってるらしいけど、この悪玉、今のところ目立って悪いことしてないので、どうも危機感に欠ける。追う方も「朝飯食ってから」とか妙に流暢だしさぁ。いや、回想で出てきた巨大な形態に「いつか」なるから、ってことなんだろうけど、だからって現段階で街を飛び回って蛙吐くだけって、ショボすぎるだろ。

 その割に「今度のはタチが悪い……」とか言われても「どこが?」って感じですよ。だって何にもしてないじゃん。現状の構図としては、お前等が勝手に喧嘩ふっかけて大けがしてるだけ。

 「クウガ」はあくまで「グロンギを倒す」という主軸があった。「響鬼」の明日夢くんは、「響鬼という人物」に憧れることで辛うじて「魔化魍を倒す」という物語にコミットしていた。でも、「大魔神カノン」には、今のところ物語そのものが存在しない。全何話か知らないけど、六話も使ってこの調子で、大丈夫なんでしょうか……すごく不安です。