「仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010」

 宣言通り、しかと観ましたけどね。

仮面ライダーディケイド 完結編

 歴代ライダーを虫けらの様に殺す無神経さ。

 死んだユウスケから出来ているカードをユウスケが居る場で出すという謎。

 っていうか、あれだけぶっ殺し続けても助けに駆けつけてくれる存在って何?

 どうやって世界を越えてきたの?

 「死んでるんだよ!」は分かったからさ、何で居るのか説明してくれ

 鳴滝の存在の意味不明さ。

 キバーラ登場の工夫の無さ。

 ただの便利キャラになった夏みかん

 ディエンドの行き当たりばったり加減。

 「絆」という言葉の軽さ。

 「ディケイドに物語は存在しない」って、ギャグで言ってんですか?

 そもそも、「生まれただけで破壊者」→「だから全てを破壊してやり直さなきゃならない」の理屈がまっっっっったく意味不明。っていうか「生まれただけで破壊者」って、それで何を説明した気になってんの?

 そこかしこに、もう整合性というものをハナっから放棄しているとしか思えない大穴がボッコボコ空いており、ただただ見た目だけが派手な相変わらずな「ディケイド」。 8 月の最終回を観たとき覚えた怒りは、「ようやく終わってくれた」という想いに相殺されて、もうただただ虚しい気持ちだけが残りました。

 製作側は「テレビシリーズとは繋がらないパラレル」とか言っているらしいですが、なら「完結編」などと銘打つなテレビシリーズにウソ予告編を織り込むな。そもそも劇場版など作るな。そうやって、僕らにとっては何の意味も成さない「言い訳」によって、どれだけ僕らの思い出を汚せば気が済むんだ?

 例えば、ディケイドの「全ての世界の均衡を保つためだけの存在」「だからこそ、破壊者となるしかないのなら、最愛の人間にこそ止めて欲しい」という設定が折角あるのだから、キバーラの変身にしてももう少し溜めてくれれば、もっと vs クウガと vs キバーラは燃えたかも知れないし、ディケイド亡き後の展開が単なる説明と行き当たりばったり以外にもあれば、ディケイドの復活には泣けたかも知れない。

 でも結局、「ディケイド」という作品が僕に見せてくれるのは、ハリボテの歴代ライダーが最新技術で派手になったビジュアルによる大騒ぎと、その場限りのキザったらしい台詞で彩られたそれっぽい雰囲気だけ。それでいいんですか?

 別に期待していた訳ではないけれど、それにしても……ま、いいや。もう二度と会いたくありません。

仮面ライダーW ビギンズナイト

 取り敢えず誰もが言うと思うけれど、吉川晃司カッコ良すぎ

 映画の帰り、おやっさん版の「お前の罪を……(←この溜めが大事)数えろ!」を思わず真似て、近くに居たキッズに目撃されて失笑されたぜ!

 「ディケイド」とは対照的に、「映画的ギミック」がほぼゼロで、テレビシリーズの 1 エピソードとして組み込まれていても全く違和感なく、そういう意味で言えばちょっと物足りないのですけど、この吉川晃司演ずる「鳴海荘吉」というキャラクターをこれからテレビシリーズを見守っていきべき観客達の脳裏にこびりつかせたという意味では、十分に役割を果たしてくれました。

 その「鳴海荘吉」というキャラクター(ほぼ 100% キャスティングによるものですが)が立ちまくっているお陰で、それを媒介にした主人公の「師匠超えエピソード」も、「ビギンズナイト」のエピソードも、全く以て予定調和な展開にも関わらず味わい深いものになっており、改めてキャラクター造形というものの大切さを痛感させられた次第です。

 だって、あのキャラクターが成立してなければ、W が「お前の罪を数えろ」と言い放った瞬間、目頭が熱くなったりしないもん。それだけあのキャラクターがその存在だけで説得力を持ったという証拠です。

 ただ、「鳴海荘吉」というキャラクターが立ちまくっているだけに、最終的に「ダミードーパント」となってしまう展開は(それはそれで成立しているとは思いつつ)少し残念。折角ここまで立ったのだから、最後まで本物の鳴海荘吉で通して、主人公達にはホンモノのおやっさん超えを成し遂げて欲しかった、と思います。そうすれば、次に出てくるおやっさんの意味もまた少し違ったろうし、ね。

 ま、ともかく面白かったです。こちらは期待以上で御座いました( 8 割方吉川晃司のお陰)。

MOVIE大戦2010

 こちらはストーリーも何も無い、ただのビジュアル大盤振る舞いフェアだったので、素直に大喜びで観ました。CM でも使われているスローでバイクがナパーム飛びは一連で観てもやっぱりカッコ良かったよ。クライシス要塞もなかなかの派手さ。平成ライダー達が完全に忘れられている感じは、もう怒る気力も起きないです。

 しかし、最後に付いたディケイドのエンディングの無味無臭っぷりが、本当にテレビシリーズで(作劇的な意味で)何も培ってこなかったのだと改めて痛感させてくれて、折角上がったテンションをずとんと落としてくれましたとさ。何なのそのバランス。