「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」

 単純に、ただやられるために出てくるとしか思えないエースやらジャックにまで、しっかりオリジナルキャストが声を付けていることにちょっと感動( 80 は別人だったけど)。「ディケイド」の後だと、それだけで何か素晴らしいことだと思えてきてしまう不思議。

 ただ、光の国ではパワードやらグレート、更には「USA」の三人など、思わず「お前ら、ひっさしぶりだなー!」と肩を叩いてしまう様な面子まで出ているのに、そんな奴らが宮迫声のエヴァンゲリオンもどきにぶっ飛ばされていく姿は、流石にちょいと哀しくなったりした。まぁ、平気で爆散させる「ディケイド」よりは良心的と言えなくもないけども。

 ……と、最初の方はどうしても企画的に、何かにつけて「ディケイド」と比較してしまいがちな心の狭い私ですが、開始十数分頃には、ワイヤーでびゅんびゅん飛び回り、カンフー大戦の様相のウルトラアクションぶりに、結果ほくほくでした。

 「ウルトラギャラクシー」を観てないので、徹頭徹尾、お前ら誰だとしか思えない主人公一行の叫び倒し正拳突きで解決なドラマは一体何だったんだ、とかゼットンがそんな弱いわけないだろ! を始め、蹴り一発で爆死する怪獣に何だかもやもやした感じを覚えたり、とか色々思わずにはいられない部分は御座いますが、それでも映画全体から「俺たちは新しいウルトラマンを作るんだ!!!!!!」という気合いが迸っており、それだけで何だか嬉しい気分になれました。

 そういう意味で、新たな世代へのバトン的な展開(それにしたってゼロの強さは反則だと思うけど)と、それだけでなく旧い世代からの教訓もしっかり織り交ぜた、ザ・子供番組! な作劇には好感を押さえ切れません。因みに、僕の隣に座っていたあるお父さんは、一生懸命映画内で起こっていることを隣のお子さんに説明していて、お子さん側も一生懸命訊きながら観ていたよ。なんか、そういう光景が鬱陶しく感じないのも久々であります。

 個人的には、故郷を追われ、隠遁生活を送っていたハヤタとダンが、勝ち目の見えない戦いに「それでも、私たちしかいないのだ」と立ち向かっていくまでのシークエンスが燃えすぎて小便漏らしそうでした。最後も、「メビウス」の最終回の訳の分からない合体よりは万倍マシな「力を合わせた勝利」だったので、満足(……ま、ゼロ以外にももうちょっと活躍して欲しかったけど)。

 そんなわけで、大変面白かったんですけど、でも、そろそろ「全員集合」以外の、新たなシリーズが観たいなぁ、なんて思ったり致します。今日も頑張れ、円谷プロ